2025年6月2日月曜日

江漢西遊日記四 その15

P20 東京国立博物館蔵

(読み)

中  ニして猪   を追フ声 のミし亦 ハ春々虫 松 虫

ちゅうにしていのししをおうこえのみしまたはすずむしまつむし


能声 能ミしておそろしき処  なり夜 四 時 比

のこえのみしておそろしきところなりよるよつどきころ


尓下 能関 ニ着(ツキ)タバコやと云 旅 舎 ニ泊 ル爰 ハ大

にしものせきに  つき たなこやというりょしゃにとまるここはおお


舩 着(ツキ)尓して瓦  屋を立 並 へ冨商  多 し

ふね  つき にしてかわらやをたちならべふしょうおおし


廿   三 日 天 氣風 アリ爰 ハ九  州  ヘ渡 ル処  ニして

にじゅうさんにちてんきかぜありここはきゅうしゅうへわたるところにして


小倉 ヘ三 里大 裏ヘ一 里半 アリ四 時 比 ヨリ

こくらへさんりだいりへいちりはんありよつどきころより


乗 合 舩 尤  モ渡舩 ハ小舟 なり西 風 ツヨシ

のりあいふねもっともとせんはこぶねなりにしかぜつよし


故 尓舩 を出春事 を見合  居ル躰(タイ)屈(クツ)故 尓

ゆえにふねをだすことをみあわせいる  たい   くつ ゆえに


岩 国 内 坂 氏ヨリ贈 りし吸 筒 を取 出し酒

いわくにうちさかしよりおくりしすいづつをとりだしさけ


を買ヒ呑 餘 ル処  ハ乗(ノリ)合ヒの者 ニも呑マセケル

をかいのみあまるところは  のり あいのものにものませける

(大意)

(補足)

「夜四時比」、夜10時頃。「四時比ヨリ」、こちらは朝の10時頃。

「廿三日」、十月三日の間違い。天明8年10月3日。西暦1788年10月31日。

「下能関」、地図では「赤間関(あかまがせき)」。「大裏」、大里(だいり)村。 

「躰(タイ)屈(クツ)」、退屈。

「吸筒」、『すいづつ すひ 吸い筒】酒または水を入れて携帯した筒形の容器。水筒』

 西風なので、向かい風になって舟を出せない。酒を呑み余るほど買ってるので、江漢さんはタラフク呑んだのかもしれません。

 

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