2022年2月7日月曜日

桃山人夜話巻五 その2

P1後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

登し天育   个る可゛此 子人 と成 尓随    天才 発 人 尓春

   曽多゛て    このこひと 奈る 志多可゛ひ さ以者つひと

としてそだ てけるが このこひととなるにしたが いてさいはつひとにす


ぐれ別 てハ与く物 の数 越志連り阿る時 和尚  一 合

  王け    もの 可づ      とき於せ ういち可゛う

ぐれわけてはよくもののかずをしれりあるときおしょういちご う


の赤小豆越者可里天其 数 越問ふ尓数 を挙 多

の阿づき     曽の可づ と  可づ 阿げ

のあずきをはかりてそのかずをとうにかずをあげた


(大意)

として育てていた。この子は成長するにしたがい能力が人より

優れ、特によく物の数を知ることができた。あるとき、和尚が一合

の小豆をはかってその数を問うと、この子は数を答えた。


(補足)

「人と成尓」、「成」のくずし字は「斗」に少し似ています。

「数を挙多」、変体仮名「越」(を)がほとんどですが、たまに平仮名「を」もでてきます。

 

2022年2月6日日曜日

桃山人夜話巻五 その1

P1前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

桃 山 人 夜話巻 第 五

とうざんじんやわまきだいご


第丗六小豆洗

多゛以さん志゛うろく阿づき阿らひ

だ いさんじゅうろくあずきあらい


越 後の国 高田 の在 尓昔  一 宇の法 華寺 有 開

ゑちご く尓多可多 ざ以 む可しいちう 本つけでら阿り可い

えちごのくにたかだのざいにむかしいちうのほっけでらありかい


山 与り六世 尓當 りて日顕   登いへる住  僧 信 濃の

さん  ろくせ 阿多  尓ち个゛ん    志゛うさう志奈の

さんよりろくせにあたりてにちげ んといえるじゅうそうしなのの


浅 間可゛獄 のふもと与り片 王奈る子越毛らひて㐧子

阿さ満  多け      可多   こ     でし

あさまが たけのふもとよりかたわなるこをもらいてでし


(大意)

桃山人夜話巻第五

第三十六小豆洗

越後の国、高田の在に昔ひとつの法華寺があった。開

山より六世にあたる日顕という住職が信濃の

浅間山のふもとからかたわの子をもらって弟子


(補足)

巻第五に入ります。

この「小豆洗」は比較的よく知られたはなしで、わたしも好きなもののひとつです。

巻第五の最初のはなしなのでつかみが大切なはず。おもしろいものをもってきたようです。

「開山与り」「浅間可゛獄」、「間」が前者では「冖」、もう一つは「宀」のようになってます。

 

2022年2月5日土曜日

桃山人夜話巻四 その44

P26後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

P27 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

P26後半

くし天猫 の如 し作 りを阿ら春時 ハ所  の人 是 越狩る

   袮こ ごと つく     とき ところ ひとこれ 可

くしてねこのごとしつくりをあらすときはところのひとこれをかる


里民 呼 天゛可ミ奈り狩  と云 よし二 荒  山 あ多り

里ミんよん      可゛り いふ  尓つく王うざん

りみんよんで かみなりが りというよしにっこ うざんあたり


尓てハ折 ふしミる人 有 白 石 子も随  筆 尓此 事

   をり    ひとあり者くせきし 春゛いひつ このこと

にてはおりふしみるひとありはくせきしもず いひつにこのこと


越く王しく志るし置 多り

        をき

をくわしくしるしおきたり


P27

神 那里

可ミ

かみなり


(大意)

P26後半

(普段は)おだやかで猫のようである。農作物を荒らすときは土地の者たちが

この獣の狩りをおこなう。里のものはこれを雷狩りというそうだ。日光山あたり

では時折(この獣を)みかける人がいる。新井白石も随筆でこのこと

を詳しく記している。


P27

かみなり


(補足)

「やさしくし天」、ここの「し」のように上の文字に重ねるようにしてる書き方もあれば、最後の行の「く王しく志るし置多り」のように「し」を長い文字で書くこともあります。「く」も長いですけど。美意識なのでしょうか。

「作」のくずし字は特徴的です。ここのはそれほどでもありません。

「里民」、「里」に同じ漢字で振り仮名「変体仮名「里」(り)」があるのは、なんとなく変な感じ。

 画が黒ずくめでどこに雷獣がいるのかよくわかりませんが、左上と渦の中に2頭?います。なるほど猫族のようです。

 この画ではまったくわかりませんので他の資料で調べてみました。第一巻から第四巻の画の中では一番の彫込みではないかとおもうくらい、素晴らしい出来栄えであります。雷獣の毛並みがひと彫りひと彫り丁寧に隙間のない仕上がりになっています。また渦巻いている妖気も力強く精密に流れるように勢いよく彫られています。下部の部分は打ち砕かれる浪のようです。中央の雷獣の視線が読者にむけられているのですが、どうだこの画はなかなかだろうと、これは彫師の矜持のよう。

 

2022年2月4日金曜日

桃山人夜話巻四 その43

P26前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  丗    五かミ奈里

多゛以さん志゛うご

だ いさんじゅうごかみなり


下 野 の国 筑 波 の辺 尓ハ雷 獣  と天山 尓春む个もの有

志もつけ く尓つく者゛ へん  ら以ぢ う  や満      あり

しもつけのくにつくば のへんにはらいじゅうとてやまにすむけものあり


夕 立  雲 の起 らんと春る時 勢  い猛 く奈り天空 中

ゆふ多゛ちぐも 於こ     ときいき本 多け    くうちう

ゆうだ ちぐものおこらんとするときいきおいたけくなりてくうちゅう


へ可ける尓其 いき本い當 るべ可ら須゛といへり常 尓ハやさし

     曽の    阿多          つ年

へかけるにそのいきおいあたるべからず といえりつねにはやさし


(大意)

第三十五かみなり

下野の国、筑波のあたりには雷獣という山に住んでいる獣がいる。

夕立雲がわき起ころうとするとき、勢い猛々しくなって空中を

駆け回るのだが、その勢いは(速すぎて)当てることができないほどだという。普段はおだやかで


(補足)

 第4巻最後の話になります。

「其いき本い當るべ可ら須゛といへり」、この部分の意味がいまひとつわかりません。

「常」のくずし字は特徴的。

下野の国は現在の栃木県で、筑波は茨城県。なので常陸の国の間違いでしょう。ですが雷が活躍する地域としては似たようなもの。

 

2022年2月3日木曜日

桃山人夜話巻四 その42

P25後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

手を可多\/し天谷 底 へ熊 の落 し多るを見し人

て       多尓曽こ く満 於と    ミ ひと

てをかたかたしてたにそこへくまのおとしたるをみしひと


有 其 石 を十  人 志天動 可し个れども春こしもゆる

あり曽のいし 志゛う尓ん  うご  

ありそのいしをじゅうにんしてうごかしけれどもすこしもゆる


可゛ざりしと楚゛鬼 熊 石 と天木曽の山 奥 尓今 尓

        於尓く満いし  き曽 や満於く いま

が ざりしとぞ おにくまいしとてきそのやまおくにいまに


有 と曽゛云 伝 ふ亨  保 の始  尓鬼 熊 を獲多る

あり   いひつ多 个 う本う 者じめ 於尓く満 え

ありとぞ いいつたうきょうほうのはじめにおにくまをえたる


か里うど有 皮 の大 いさ六 畳  尓足ら須゛曽゛有 个る

    あり可ハ 於本  ろくぜ う 多     あり

かりうどありかわのおおいさろうじょうにたらず ぞ ありける


(大意)

片手で谷底へ熊が落としたのを見た人

がいる。その石を十人で動かそうとしたが少しも揺る

がなかったという。鬼熊石といって木曽の山奥に今も

あると言い伝わっている。享保のはじめに鬼熊を捕まえた

猟師がいた。その皮の大きさは六畳にとどかんとするほどであったという。


(補足)


「手を可多\/し天」、「可多\/」が困りました。「片方」(かたほう)の意でしょうけど、「堅堅」(かたかた)の文字通り「堅い」の意もあります。まぁ片方が順当かと。

「か里うど」、平仮名「か」もときたま使われます。

「大いさ」、「き」の間違いなのかどうか不明です。

 皮の大きさが6畳弱だったというのですから、大きいグリズリーやヒグマや白熊と同程度です。実際にいたような気がします。約300年前のことですので皮は何かに使われてしまったのでしょう。残念。

 

2022年2月2日水曜日

桃山人夜話巻四 その41

P25前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

こミ遂 尓ハ身の置 所  奈くし天穴 の口 へ出 るを鑓

    つい  ミ 於きどころ    阿奈 くち いづ  やり

こみついにはみのおきどころなくしてあなのくちへいずるをやり


尓天つきて川本う尓天うちとる奈り其 力  の

                曽のち可ら

にてつきてっぽうにてうちとるなりそのちからの


つよきこと何 人 力 といふこと越志ら須゛といへり王多り

     奈ん尓んりき      

つよきことなんにんりきということをしらず といへりわたり


六 七 尺  も阿らん可と思 ハるゝ本どの大 石 越山 中  ニ天

ろくしちしやく      於も      多以せき さんち う

ろくしちしゃくもあらんかとおもはるるほどのたいせきをさんちゅうにて


(大意)

(奥の方へ詰め)込み、ついには身の置きどころがなくなって穴の口から出てくるところを槍

でつき、鉄砲で撃ち取るのである。その力の

強いことは何人力ということでは言いあらせないほどであるという。端から端まで

六七尺もあろうかとおもわれるほどの大きな石を、山中で


(補足)

「鑓」(やり)、振り仮名がなければ読めません。振り仮名の「や」は「ゆ」とまぎらわしい。

「て川本う」、「川」はみため、とてもじゃないけど「つ」には見えません。変体仮名「川」(つ)。カタカナ「ツ」はたしかに三本の線があり「川」。

「つよきこと」、「こと」が「を」に見えてしまいますが合字の「こと」。次の「いふこと越」も同様。

「山中ニ天」、「ニ」がとても小さい。しかし助詞「ニ」はたいてい極小。

 

2022年2月1日火曜日

桃山人夜話巻四 その40

P24 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

鬼 く満

於尓

おにくま


(大意)

鬼熊


(補足)

 綴じの都合でしょうか、画が続きます。

馬は熊の背中にかつがれ、目玉はまん丸、口を開き歯をむき、気絶寸前の表情。鬼熊はあれっチト重いな、と目尻が下がりよっこらしょっと腰に力を入れてふんばっているところ。

グリズリーやホッキョクグマの大きいのは立つと3m前後あるというのですから、うーんでかい。

初めて北回りでジャンボに乗ったとき、途中アンカレッジ空港にでみたホッキョクグマに度肝を抜かれましたが、現在は日本に送られてきていて千歳市役所にあるそうです。