P25後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
手を可多\/し天谷 底 へ熊 の落 し多るを見し人
て 多尓曽こ く満 於と ミ ひと
てをかたかたしてたにそこへくまのおとしたるをみしひと
有 其 石 を十 人 志天動 可し个れども春こしもゆる
あり曽のいし 志゛う尓ん うご
ありそのいしをじゅうにんしてうごかしけれどもすこしもゆる
可゛ざりしと楚゛鬼 熊 石 と天木曽の山 奥 尓今 尓
於尓く満いし き曽 や満於く いま
が ざりしとぞ おにくまいしとてきそのやまおくにいまに
有 と曽゛云 伝 ふ亨 保 の始 尓鬼 熊 を獲多る
あり いひつ多 个 う本う 者じめ 於尓く満 え
ありとぞ いいつたうきょうほうのはじめにおにくまをえたる
か里うど有 皮 の大 いさ六 畳 尓足ら須゛曽゛有 个る
あり可ハ 於本 ろくぜ う 多 あり
かりうどありかわのおおいさろうじょうにたらず ぞ ありける
(大意)
片手で谷底へ熊が落としたのを見た人
がいる。その石を十人で動かそうとしたが少しも揺る
がなかったという。鬼熊石といって木曽の山奥に今も
あると言い伝わっている。享保のはじめに鬼熊を捕まえた
猟師がいた。その皮の大きさは六畳にとどかんとするほどであったという。
(補足)
「手を可多\/し天」、「可多\/」が困りました。「片方」(かたほう)の意でしょうけど、「堅堅」(かたかた)の文字通り「堅い」の意もあります。まぁ片方が順当かと。
「か里うど」、平仮名「か」もときたま使われます。
「大いさ」、「き」の間違いなのかどうか不明です。
皮の大きさが6畳弱だったというのですから、大きいグリズリーやヒグマや白熊と同程度です。実際にいたような気がします。約300年前のことですので皮は何かに使われてしまったのでしょう。残念。
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