2022年2月12日土曜日

桃山人夜話巻五 その7

P4前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ハ止 多り依 天住  職  春る者 久 しく多え天寺 ハ

 やミ  よつ じ うしよく  ものひさ     てら

はやみたりよってじゅうしょくするものひさしくたえててらは


遂 尓元  禄 二年 尓焼  失 し天跡 奈しといへり是 則

つい 个゛んろく    せ うしつ  阿と      これ春奈ハち

ついにげ んろくにねんにしょうしつしてあとなしといえりこれすなわち


童 謡 尓いふ赤小豆洗 ひの小僧  奈り焼  亡 の後

どうやう   あづき阿ら  こ曽゛う  せ うしつ のち

どうようにいうあずきあらいのこぞ うなりしょうしつののち


尓もさ満\゛/の怪異阿り个連バ土民 つとびて寺

        けゐ     どミん    てら

にもさまざ まのけいありければどみんつどひててら


乃跡 尓卒都婆越多天死霊  越弔  ひ个る尓曽゛

 阿と そとハ   し里やう とむら

のあとにそとばをたてしりょうをとむらいけるにぞ


(大意)

(音がして)は止む(ということが続いた)。そのため住職をするものが久しく絶えて寺は

ついに元禄二年に焼失して跡形もなくなってしまったという。これがつまり

童謡にある「小豆洗いの小僧」である。焼失したあと

にも様々な怪異があったので、土地のものたちは寄り集まって寺

の跡に卒塔婆を建てて死霊を弔ったとのことである。


(補足)

「是則」、「春奈ハち」は「即」ではなく「則」のほう。

「怪異」、ここの「異」は異体字で「己」+「大」。古文書で「異国船」の「異」はほとんどがこれです。

「つとびて」、「゛」が「ひ」のほうについてしまいました。

童謡で「小豆洗いの小僧」があるかとネットで検索しましたがヒットしませんでした。どんな歌詞なのか興味のあるところです。

 

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