P10後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
与き商 人 とも奈りぬべし今 や世間 尓も
阿きうど いま せ个ん
よきあきうどともなりぬべしいまやせけんにも
山 男 多 く阿連ども一 足 飛 尓ど可儲 せん
や満をとこ於本 いつそくとび もうけ
やまおとこおおくあれどもいっそくとびにどかもうけせん
こと能ミを者可里天長 範 可゛当 呑 いま多゛
てう 者ん 阿てのミ
ことのみをはかりてちょうはんが あてのみいまだ
手尓も入らざる先 尓奢 る可゛故 尓世尓出 る事 奈し
て い さき 於ご ゆへ よ いづ こと
てにもいらざるさきにおごるが ゆえによにいずることなし
(大意)
よい商人にもなることができたかもしれない。今や世間にも
山男のような者は多くいるが、一足飛びに大儲けする
ことだけを考えて「長範が当て呑み」のように、まだお金を
手にする前に贅沢をするから、世に出ることがないのである。
(補足)
「ど可儲」、雪国では「どか雪」として使われますが、こんな使い方もあるのかと。
「長範が当て呑み」、捕らぬ狸の皮算用と同じ。恥ずかしながら初めて知りました。
「山男」の話から、なんとも儒教的な説教臭い結末になってしまいました。巻一の序で述べた「ハチャメチャな物語をお見せしよう」の心意気はどこにいってしまったのでしょう。ちょっと残念。
0 件のコメント:
コメントを投稿