2022年2月23日水曜日

桃山人夜話巻五 その18

P10後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

与き商 人 とも奈りぬべし今 や世間 尓も

  阿きうど       いま せ个ん

よきあきうどともなりぬべしいまやせけんにも


山 男  多 く阿連ども一 足 飛 尓ど可儲  せん

や満をとこ於本     いつそくとび   もうけ

やまおとこおおくあれどもいっそくとびにどかもうけせん


こと能ミを者可里天長  範 可゛当 呑 いま多゛

         てう 者ん  阿てのミ

ことのみをはかりてちょうはんが あてのみいまだ


手尓も入らざる先 尓奢 る可゛故 尓世尓出 る事 奈し

て  い   さき 於ご   ゆへ よ いづ こと

てにもいらざるさきにおごるが ゆえによにいずることなし


(大意)

よい商人にもなることができたかもしれない。今や世間にも

山男のような者は多くいるが、一足飛びに大儲けする

ことだけを考えて「長範が当て呑み」のように、まだお金を

手にする前に贅沢をするから、世に出ることがないのである。


(補足)

「ど可儲」、雪国では「どか雪」として使われますが、こんな使い方もあるのかと。

「長範が当て呑み」、捕らぬ狸の皮算用と同じ。恥ずかしながら初めて知りました。

 「山男」の話から、なんとも儒教的な説教臭い結末になってしまいました。巻一の序で述べた「ハチャメチャな物語をお見せしよう」の心意気はどこにいってしまったのでしょう。ちょっと残念。

 

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