2022年2月13日日曜日

桃山人夜話巻五 その8

P4後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

今 ハ阿づき小僧 の奈のミ残 り天阿やしきことハ

いま    こ曽う 奈  のこ

いまはあずきこぞうのなのみのこりてあやしきことは


絶 尓个り去 バ恐 ろしきこと越円 海 坊  といひ天

多ゑ   され 於曽      ゑん可い本゛う

たえにけりさればおそろしきことをえんかいぼ うといいて


ひと越於ど須尓阿づき洗  可゛出多りといふも越 後

          あらひ  で      ゑちご

ひとをおどすにあずきあらいが でたりというもえちご


乃国 尓限 りし事 と楚゛彼 地の人 の語  侍 り幾

 く尓 可ぎ  こと   可のち ひと 可多り者べ

のくににかぎりしこととぞ かのちのひとのかたりはべりき


(大意)

今は小豆小僧の名前だけが残り、怪しいことは

絶えてしまったようだ。だから恐ろしいことを「円海坊」と言い、

人を脅すとき「小豆洗いが出だぞ」と言うのも、越後

の国に限ったことであると、彼の地の人たちに語り伝えられていることである。


(補足)

「今」は古文書などでは「彡」+「ヽ」のようなかたち。

「阿やしきこと」、「ゆ」に見えるのは「や」です。「ゆ」は変体仮名「由」の縦棒がゆらぎます。

「いひ天」、「い」と「ひ」はまぎらわしいですが、こうしてふたつ並ぶとやはりことなります。

「ひと越於ど須尓」、二文字目「と」が形になってません。次の「ど」はたしかに「と」の形。

「語侍り幾」、振り仮名「可多り」の「多」がわかりずらい。変体仮名「幾」(き)は久しぶりに出てきました。

 小豆洗いは全国定番の妖怪。妖怪漫画ではたいてい出てきます。それくら小豆が食されていたということであります。どこの家からも井戸や河原でショキショキ、シャキシャキ洗う音がきこえてきたのです。その音にひかれて子どもがよってくると・・・


 

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