P4後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
今 ハ阿づき小僧 の奈のミ残 り天阿やしきことハ
いま こ曽う 奈 のこ
いまはあずきこぞうのなのみのこりてあやしきことは
絶 尓个り去 バ恐 ろしきこと越円 海 坊 といひ天
多ゑ され 於曽 ゑん可い本゛う
たえにけりさればおそろしきことをえんかいぼ うといいて
ひと越於ど須尓阿づき洗 可゛出多りといふも越 後
あらひ で ゑちご
ひとをおどすにあずきあらいが でたりというもえちご
乃国 尓限 りし事 と楚゛彼 地の人 の語 侍 り幾
く尓 可ぎ こと 可のち ひと 可多り者べ
のくににかぎりしこととぞ かのちのひとのかたりはべりき
(大意)
今は小豆小僧の名前だけが残り、怪しいことは
絶えてしまったようだ。だから恐ろしいことを「円海坊」と言い、
人を脅すとき「小豆洗いが出だぞ」と言うのも、越後
の国に限ったことであると、彼の地の人たちに語り伝えられていることである。
(補足)
「今」は古文書などでは「彡」+「ヽ」のようなかたち。
「阿やしきこと」、「ゆ」に見えるのは「や」です。「ゆ」は変体仮名「由」の縦棒がゆらぎます。
「いひ天」、「い」と「ひ」はまぎらわしいですが、こうしてふたつ並ぶとやはりことなります。
「ひと越於ど須尓」、二文字目「と」が形になってません。次の「ど」はたしかに「と」の形。
「語侍り幾」、振り仮名「可多り」の「多」がわかりずらい。変体仮名「幾」(き)は久しぶりに出てきました。
小豆洗いは全国定番の妖怪。妖怪漫画ではたいてい出てきます。それくら小豆が食されていたということであります。どこの家からも井戸や河原でショキショキ、シャキシャキ洗う音がきこえてきたのです。その音にひかれて子どもがよってくると・・・
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