2022年2月9日水曜日

桃山人夜話巻五 その4

P2後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ミ天和尚  能畄守越う可ゞひ小僧  越うちころ

  於せ う る春     こ曽゛う

みておしょうのるすをうかがいこぞ うをうちころ


志天井の中 へ沈 免阿や満ちて落 入 多るてい耳

  ゐ 奈可 志づ      於ちいり

していのなかへしずめあやまちておちいりたるていに


毛て奈し个連バ夜奈\/小僧  の霊 出 天雨 戸尓

       よ   こ曽゛う 連以いで 阿まど

もてなしければよなよなこぞ うのれいいでてあまどに


赤小豆越うち附 る音 於び多ゞしく阿るいハ夕 ぐ

阿づき   つく 於と          ゆふ

あずきをうちつくるおとをびただしくあるいはゆうぐ


(大意)

(ねた)み、和尚の留守をうかがって小僧を打ち

殺して井戸の中へ沈めた。円海は小僧があやまって井戸に落ちたように

見せかけた。そうすると、夜な夜な小僧の霊が出て、雨戸に

小豆を打ち付ける音がおびただしくあったり、あるいは夕暮(れ)


(補足)

「和尚」の振り仮名「於せう」なのでしょうが、拡大しても「せ」には見えません。カタカナ「セ」であるわけがないし、変体仮名「王」(わ)にもみえますが、それも変。

「和尚能」、変体仮名「能」(の)もよくでてきます。

「う可ゞひ」、「う」と「可」はにているし、「ひ」はややかすれて判別しにくく「ひ」に「゛」がついているようにみえるし、すぐには読めません。

「落入多るてい耳」、変体仮名「耳」(に)はあまりでてきませんが、たまに出現します。

「毛て奈し个連バ」、現在では「歓待する」の意がほとんどです。古い時代では「そうであるかのようにみせかける」と現在の意味とはかけはなれてます。

「於び多ゞしく」、変体仮名「多」(た)がちょっとわかりにくい。

 

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