P26後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
P27 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
P26後半
くし天猫 の如 し作 りを阿ら春時 ハ所 の人 是 越狩る
袮こ ごと つく とき ところ ひとこれ 可
くしてねこのごとしつくりをあらすときはところのひとこれをかる
里民 呼 天゛可ミ奈り狩 と云 よし二 荒 山 あ多り
里ミんよん 可゛り いふ 尓つく王うざん
りみんよんで かみなりが りというよしにっこ うざんあたり
尓てハ折 ふしミる人 有 白 石 子も随 筆 尓此 事
をり ひとあり者くせきし 春゛いひつ このこと
にてはおりふしみるひとありはくせきしもず いひつにこのこと
越く王しく志るし置 多り
をき
をくわしくしるしおきたり
P27
神 那里
可ミ
かみなり
(大意)
P26後半
(普段は)おだやかで猫のようである。農作物を荒らすときは土地の者たちが
この獣の狩りをおこなう。里のものはこれを雷狩りというそうだ。日光山あたり
では時折(この獣を)みかける人がいる。新井白石も随筆でこのこと
を詳しく記している。
P27
かみなり
(補足)
「やさしくし天」、ここの「し」のように上の文字に重ねるようにしてる書き方もあれば、最後の行の「く王しく志るし置多り」のように「し」を長い文字で書くこともあります。「く」も長いですけど。美意識なのでしょうか。
「作」のくずし字は特徴的です。ここのはそれほどでもありません。
「里民」、「里」に同じ漢字で振り仮名「変体仮名「里」(り)」があるのは、なんとなく変な感じ。
画が黒ずくめでどこに雷獣がいるのかよくわかりませんが、左上と渦の中に2頭?います。なるほど猫族のようです。
この画ではまったくわかりませんので他の資料で調べてみました。第一巻から第四巻の画の中では一番の彫込みではないかとおもうくらい、素晴らしい出来栄えであります。雷獣の毛並みがひと彫りひと彫り丁寧に隙間のない仕上がりになっています。また渦巻いている妖気も力強く精密に流れるように勢いよく彫られています。下部の部分は打ち砕かれる浪のようです。中央の雷獣の視線が読者にむけられているのですが、どうだこの画はなかなかだろうと、これは彫師の矜持のよう。
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