2022年2月4日金曜日

桃山人夜話巻四 その43

P26前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  丗    五かミ奈里

多゛以さん志゛うご

だ いさんじゅうごかみなり


下 野 の国 筑 波 の辺 尓ハ雷 獣  と天山 尓春む个もの有

志もつけ く尓つく者゛ へん  ら以ぢ う  や満      あり

しもつけのくにつくば のへんにはらいじゅうとてやまにすむけものあり


夕 立  雲 の起 らんと春る時 勢  い猛 く奈り天空 中

ゆふ多゛ちぐも 於こ     ときいき本 多け    くうちう

ゆうだ ちぐものおこらんとするときいきおいたけくなりてくうちゅう


へ可ける尓其 いき本い當 るべ可ら須゛といへり常 尓ハやさし

     曽の    阿多          つ年

へかけるにそのいきおいあたるべからず といえりつねにはやさし


(大意)

第三十五かみなり

下野の国、筑波のあたりには雷獣という山に住んでいる獣がいる。

夕立雲がわき起ころうとするとき、勢い猛々しくなって空中を

駆け回るのだが、その勢いは(速すぎて)当てることができないほどだという。普段はおだやかで


(補足)

 第4巻最後の話になります。

「其いき本い當るべ可ら須゛といへり」、この部分の意味がいまひとつわかりません。

「常」のくずし字は特徴的。

下野の国は現在の栃木県で、筑波は茨城県。なので常陸の国の間違いでしょう。ですが雷が活躍する地域としては似たようなもの。

 

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