2022年2月8日火曜日

桃山人夜話巻五 その3

P2前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

里ま多壱 升  越者可里天数 越問ふ尓猶 其 数

     いつせ う     可づ と  奈本曽の可づ

りまたいっしょうをはかりてかずをとうになおそのかず


を挙 多り員 へミる尓一粒   も違 ふこと奈し其 者つ

 阿げ  可ぞ    いち里 う 多可゛    曽の

をあげたりかぞえみるにいちりゅうもたがふことなしそのはつ


明 奈る越賞  美し天ゆく\/ハ志゛う志よくをも是

め以   せう び               これ

めいなるをしょうびしてゆくゆくはじゅうしょくをもこれ


尓譲 らんといつくしミ个る越同 宿   の僧 尓円 海

 ゆづ           とう志゛由く 曽う ゑん可以

にゆずらんといつくしみけるをどうじ ゅくのそうにえんかい


と天悪 僧 有 し可゛和尚  の小僧  越愛 春るを禰多

  阿く曽うあり   於せ う こ曽゛う 阿以

とてあくそうありしが おしょうのこぞ うをあいするをねた


(大意)

(答えた。)また一升をはかって数を問うと、同じようにその数を

答えた。数えてみると一粒も間違うことはなかった。小僧の賢い

ことを褒め、ゆくゆくは住職を小僧

に譲ろうと大切に育てた。そのことを、同じ寺の僧である円海

という悪僧がいたのだが、和尚がこの小僧を愛するのをねたみ


(補足)

「挙」のくずしは振り仮名がなければ読めません。

「いつくしミ个る」、「しミ」がわかりにくですが、「いつく」までくるとそのあとは「しみ」と想像できます。

「円」の旧字は「圓」。「員」のくずし方が二行前の「員へミる尓」とおなじになってます。囗は両脇のふたつの点になってしまったようです。

 職業とその人の性格や徳はなるほどとうなずくこともあれば、そうでないこともありそのほうがおおそうであります。さて悪僧円海その後はいかに。

 

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