P7前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 丗 七 山 男
多゛以さん志゛うしちや満をとこ
だ いさんじゅうしちやまおとこ
遠 州 秋 葉の山 奥 奈ど尓ハ山 男 といふ毛の阿り天
ゑんし う阿き者 や満をく や満をとこ
えんしゅうあきばのやまおくなどにはやまおとこというものありて
折 ふし出 ること有 杣 山 賤 の重 荷越負ひ多すけ
をり いづ 阿り曽まや満可゛つ 於も尓 を
おりふしいずることありそまうあまがつのおもにをおいたすけ
天里 近 く迄 来 りてハ山 中 尓戻 れり家 も奈く
さとぢ可 までき多 さんち う もど いゑ
てさとぢかくまできたりてはさんちゅうにもどれりいえもなく
従 類 个ん曽゛くも奈く常 尓住 ふ所 さと尓志る者
志゛うる以 つ年 春満 ところ もの
じゅうるいけんぞ くもなくつねにすまうところさとにしるもの
(大意)
第三十七山男
遠州秋葉の山奥などには山男というものが住んでいて
ときどき出てくることがある。木こりや猟師の重い荷物を背負って助け
て里近くまで運んできて、また山中に戻ってゆく。家もなく
従者や身内もなく、普段住んでいるところを里に知っているものは
(いなかった)
(補足)
画では「山おの古」でしたが、題名では「や満をとこ」。
「遠州」、ここの「州」のくずし字は「品」の「口」部分が「刀」になったものを、下の部分をちょっとくずした形。「州」は筆順通り左から短い点と長い縦棒がひとつの部品でそれが3つあります。そのひとつのセットは「刀」に似てます。「刀」を横に3つ並べては場所をとりますから、残り2つは下に並べて、このような形になったのではと推理しました。くずし字では偏と旁の位置を変えたりするのはよくあることです。
「里近く迄」、「近」のくずし字は「を」のなりそこないのようなかたち。
「従類」(じゅうるい)、辞書にはありませんでした。従う仲間なので従者。
「常」のくずし字は特徴的。「道」のくずし字ににています。
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