2022年2月19日土曜日

桃山人夜話巻五 その14

P8後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

根尓天足 越い多免阿由むこと能 ハ春゛し天多尓

禰  あし         阿多

ねにてあしをいためあゆむことあたわず してたに


の底 尓居多りし可゛山 男  いづことも奈く出 来 り天

 曽こ ゐ     や満をとこ       いでき多

のそこにいたりしが やまおとこいずくとのなくいできたりて


又 蔵 を負ひ屏  風を多天多る可゛如 き所  越や春

ま多ざう を びやうぶ       ごと ところ

またぞうをおいびょうぶをててたるが ごときところをやす


\/と登  り天医師可゛門 口 迄 い多りて可きけ春可゛

   の本゛  ゐし  可どぐちまで

やすとのぼ りていしが かどぐちまでいたりてかきけすが


(大意)

根で足を痛めてしまい、歩くことができなくなってしまった。谷

の底に居たのだが、山男がどこからともなくやって来て

又蔵を背負い、屏風を立てたような崖をやす

やすと登り、医者の門の前まで運んでくれ、それからかき消す


(補足)

「阿由むこと」、「こと」は合字。このあとにも何箇所か出てきます。振り仮名にもあります。

「登り天」(のぼりて)、この「登」は漢字のくずし字。3行目行頭の「登」は変体仮名「登」(と)で、このふたつはきちんと区別されているようです。

「可きけ春」、変体仮名「可」(か)はいつもながら、「う」にそっくりです。「き」は「さ」とまちがえそう。

 

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