P8後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
根尓天足 越い多免阿由むこと能 ハ春゛し天多尓
禰 あし 阿多
ねにてあしをいためあゆむことあたわず してたに
の底 尓居多りし可゛山 男 いづことも奈く出 来 り天
曽こ ゐ や満をとこ いでき多
のそこにいたりしが やまおとこいずくとのなくいできたりて
又 蔵 を負ひ屏 風を多天多る可゛如 き所 越や春
ま多ざう を びやうぶ ごと ところ
またぞうをおいびょうぶをててたるが ごときところをやす
\/と登 り天医師可゛門 口 迄 い多りて可きけ春可゛
の本゛ ゐし 可どぐちまで
やすとのぼ りていしが かどぐちまでいたりてかきけすが
(大意)
根で足を痛めてしまい、歩くことができなくなってしまった。谷
の底に居たのだが、山男がどこからともなくやって来て
又蔵を背負い、屏風を立てたような崖をやす
やすと登り、医者の門の前まで運んでくれ、それからかき消す
(補足)
「阿由むこと」、「こと」は合字。このあとにも何箇所か出てきます。振り仮名にもあります。
「登り天」(のぼりて)、この「登」は漢字のくずし字。3行目行頭の「登」は変体仮名「登」(と)で、このふたつはきちんと区別されているようです。
「可きけ春」、変体仮名「可」(か)はいつもながら、「う」にそっくりです。「き」は「さ」とまちがえそう。
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