2020年11月7日土曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その15

P.11下段

(読み)

うミへうち

うみへうち


こみ

こみ


とふと可多きを

とうとかたきを


うちとり

うちとり


ぢゞ尓者奈し

じじにはなし


个連バちゞハ

ければじじは


よろこびいく

よろこびいく


者゛くぞ

ば くぞ


そ連ゟ

それより


可のうさ起゛

かのうさご


王可゛

わが


このごとく

このごとく


(大意)

海へ打ち込み

しっかりとかたきを討ち取りました。

ぢぢに(そのことを)話したところ

ぢぢの喜びようはどれほどであったことか。

そののち、かの兎は我が子のように


(補足)

 文章のほとんどがこたつの唐草模様の掛け布団を背景にして、文字もかすれやつぶれがあってわかりにくい箇所も多いです。

「とふと」、最初は「とうとう、やっと」の意だとおもったのですが、辞書には「しかと、ゆるぎないさま」とあり、こちらの意味と気づきました。

「可多きを」、この部分うっかりと「うさぎ」と読んでしまいそうです。それでは意味がおかしくなるのですが。

「ぢゞ尓者奈し」、読みづらい。次の「个連バちゞハ」も同様です。

「者゛くぞ」、「ぞ」がつぶれてしまって、「ぞ」とわかれば形をなぞれますが、あれこれ悩む箇所です。

「そ連ゟ」、「より」は合字「ゟ」、「このごとく」の「ごと」も合字。


P10P11見開き

 こたつに寄りかかり膝をくずし、胸筋も二の腕も太いのに、なよっているたぬきの姿がおかしい。

ふたつの場面をひとつの絵に盛り込んでいるのですが特に違和感は感じません。

 もう一度すりこ木とすり鉢あたりに目をやれば、その左側のお盆の中にある赤いもの3本は唐辛子と見ました。これをすりつぶして狸の背中に塗りつけたという訳?

こたつの高さが高いように感じますが、実際こたつの高さはもっと高いものが多かったようです。ほんとかうそか、向かいに座る人が見えないくらいのものもあったとか・・・

 

2020年11月6日金曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その14

P.11上段中段

(読み)

ふねハ

ふねは


つちぶね

つちぶね


ゆへ多゛ん\/

ゆえだ んだん


くづ連

くずれ


可ゝり

かかり


け連バ

ければ


うさ起

うさぎ


ハよろこび

はよろこび


ひごろの

ひごろの


あくじおもひ

あくじおもい


志連と

しれと


可ひを

かいを


もつて

もって


さん\/゛

さんざん


尓うち

にうち


多ゝき

たたき


(大意)

船は土船のため

だんだんとくずれだしので

兎は喜び、日頃の悪事をおもいしれと

櫂を持って散々に打ちたたき


(補足)

「ふねハ」と「つちぶね」の「ね」が異なってます。後者は変体仮名「禰」(ね)でしょうか。「根」かもしれません。

「くず連」「け連バ」「志連と」、変体仮名「連」(れ)。

「うさ゛起」、濁点をおくところを間違えたか。

「あくじ」、「くじ」が「乍」のようにみえます。

部屋の中は兎が狸に土船を造らせようと設計図を見せて説得している場面、狸は背中の大やけどをいたわるのか半身裸でこたつに入っています。こたつにかぶせてある布は唐草模様。

外では兎が細かく造り方を指示でもしているのか、狸は土壁を塗るときのようにコテ(鏝)と鏝板で左官屋さんのようです。



 

2020年11月5日木曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その13

P.10

(読み)

つく

つく


らせ

らせ


ふたりし

ふたりし


てうミへ

てうみへ


のり多゛し

のりだ し


多゛ん\/とゆく

だ んだんとゆく


本ど尓うさ起゛

ほどにうさぎ


のふねハきぶ

のふねはきぶ


ね多ぬきの

ねたぬきの


(大意)

造らせ二人して海へ乗り出しました。

だんだんと(沖へ)ゆくほどに

兎の船は木舟で、狸の


(補足)

「のり多゛し」、「り」の右側下がかすれてます。

「ふねハきぶね」、「ハ」と「き」の上下がやや重なって少しわかりずらい。

兎が何か紙を狸に見せつけています。船の設計図でしょうか。兎の衣裳が歌舞伎にでてくる役者さんのよう。右下にはすり鉢にすりこぎ棒。何に使うor使ったのでしょう。

 

2020年11月4日水曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その12

P.9後半

(読み)

多ぬき尓

たぬきに


奈け連バ

なげれば


奈を\/

なをなを


奈やミ

なやみ


くるしミ

くるしみ


个る可゛う

けるが う


さ起ふねを

さぎふねを


つくり

つくり


多ぬき尓

たぬきに


春ゝめつち

すすめつち


ぶねを

ぶねを


(大意)

(それを)狸に投げれば

いっそう、もだえ苦しんでいました。

兎は船を作り、狸には土船を作ることをすすめ


(補足)

「奈け連バ」、「け」に濁点がありませんが、よくあることです。変体仮名「連」(れ)は何度もでてきています。

「春ゝめ」、ここの変体仮名「春」(す)は「十」+「て」。

P8P9見開き

見開きで見るとなかなか迫力があります。忍者同士の戦いのよう。

狸の燃え盛っている柴の下の色が土の色と同じになってしまってます。


 

2020年11月3日火曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その11

P.9前半

(読み)

いゝけるバ

いいけるば


うち尓

うちに


もへ

もえ


あ可り

あがり


大 やけ

おおやけ


ど奈り

どなり


うさ

うさ


ぎ

ぎ


きゝて

ききて


よろ

よろ


こび

こび


ミまい

みまい


奈可゛ら

なが ら


とう

とう


がらしミそ

がらしみそ


もちゆき

もちゆき


(大意)

と答えたとたん

(柴の)内側に燃え上がり

(狸は)大やけどをしました。

兎はそれを聞いて喜び、見舞いに

唐辛子味噌を持ってゆきました。


(補足)

この頁、文章よりも先に兎の斬新な忍者装束のような姿に目が奪われます。一体この●の紺色、そのまわりに薄青のトゲトゲ、なんて奇抜な柄でありましょう。両手に持つは火打道具、これがカチカチの音のもとです。


「いゝけるバ」、「る」は「連」(れ)ではないのですね。

「うち尓」、「う」のカーブのところがかすれていて「こ」にもみえてしまいます。

「きゝて」、ここの「て」も先ほどの「う」と同じく、かすれてます。「と」にみえます。

「ミまい」、「ま」とわかってしまうとなんでもないですが、変体仮名「連」(れ)をちょっとかきそこなったようにもみえます。


 

2020年11月2日月曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その10

P.8

(読み)

「こゝハ

 ここは


かち

かち


\/

かち


や満

やま


奈り

なり」


と

と


(大意)

「ここはかちかち山だ」と

(補足)

前頁の狸の問に答えています。

「かち」、平仮名「か」です。

場所を示す杭には「かち\/山」「加知仝山」とあります。「仝」は繰り返し記号「\/」と同じで読みは(おなじ)(どう)。

紺地に白の格子縞の上下に地下足袋姿、背中の柴に火付けされおおあわてです。

 

2020年11月1日日曜日

豆本 かち\/山(佐藤新太郎)その9

P.7

(読み)

ひをうち可け連バ多ぬきい満のおと

ひをうちかければたぬきいまのおと


ハ奈んのおと奈りときけ者゛

はなんのおとなりときけば


(大意)

火を付けたところ

狸が「今の音は何の音か」と

聞いたので


(補足)

出だしの「ひ」の上に文字のようなもながあります。無視しても意味が通じますのでゴミと判断。

「い満のおと」、ややかすれているので読みにくい。

音はもちろん火付けに使う火打ち石です。

縁側の座面は竹でしょう。全体の作りも細部まで丁寧に描いています。

部屋の壁は豆本の定番でたいていヒビが入り一部はくずれています。

P6P7見開き

空の赤、黄土色の小山、緑の草木は色の調子を両頁で保っていますが、灰色の地面は爺さんのほうがややマットな感じで、兎のほうは筆でササッと左右に塗っています。

それにしても幸せ満面の食事から庭に崩れ落ちてしわくちゃの泣き顔、天国から地獄。