2021年7月31日土曜日

豆本 昔咄しかち\/山 その11

P12

P13

(読み)

P12上段

とう可゛らしミそを

とうが らしみそを


こしらへ奈春り

こしらえなすり


つけれバ奈本\/

つければなおなお


い多ミで

いたみで


くるしミ

くるしみ


P13上段

ける

ける


あるひ

あるひ


うさ起

うさぎ


きふ年

きふね


をこしらへ

をこしらえ


い多る尓

いたるに


多ぬきも

たぬきも


つちふ年

つちふね


をこし

をこし


らへ

らえ


可ハへいで△

かわへいで


(大意)

P12

とうがらし味噌を

作ってなすりつければ

ますます傷み苦しみ

P13

ました。

ある日、

うさぎは木舟を作ったところ

たぬきも土船を作って

川へ出た

(補足)

 話の流れが見開きの上段から下段となってますのでそれに従います。P12上段背景がやや読みずらい。

「奈本」の「奈」が「る」のように見えますが、このあとの「くるしミ」の「る」と比較してください。またP13出だし「ける」「あるひ」の「る」は上部の横棒がありません。変体仮名「留」(る)に近いです。

 P12唐辛子味噌調剤と治療の図がなかなか細かいです。まな板のようなところで唐辛子を刻み、すり鉢に入れてゴリゴリ、それを油紙の和紙に塗って、その薬も赤だけでなく黒いぶつぶつを描いています。すり鉢の奥には取っ手を上に薬箱「かうやく」の木目もきれいです。そのうしろの襖絵は赤い唐辛子が飛び散ったかのように花が咲いています。うさぎの着物も洒落てますね。

 

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