2022年9月14日水曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その21

P11上段 国立国会図書館蔵

(読み)

多可ら

たから


ものを▲

ものを


▲さゝげて

 ささげて


奈尓とぞ

なにとぞ


一 めいハお

いちめいはお


多春け

たすけ


く多゛さい

くだ さい


とね可゛

とねが


ひ

い


个れバ

ければ


もゝ▲△

もも



「お尓の

 おにの


め尓

めに


奈

な


ミ多゛

もだ


とハ

とは


このこと多゛

このことだ


(大意)

宝ものを

捧げて

なにとぞ一命は

お助けください

と願い出たので

桃(太郎は)

「鬼の目に

涙とはこのことだ


(補足)

「多可らものを」、「多可ら」が「多ろう」と読めなくもありません。これらはとてもよくにています。P10「可うさん奈春よしを」の「可う」も「ろう」と読み間違えるくらいにています。

「さゝげて」、「お多春け」では平仮名「け」ですが、昔ながらの言い回し「个れバ」になると変体仮名「个」(け)になってしまいます。

 鬼たちが袖の中に手を入れて中国式の挨拶をしています。ちょっとした時代背景がありそうです。この豆本シリーズが出版されたのが明治15年(1882年)です。その7年前明治7年(1874年)に清国領台湾へ明治政府は初めての海外出兵と戦闘をしています。またその翌年明治8年には朝鮮の江華島事件がありました。鬼たちが戦いのときに使っていた武器も清国の様式のものだったのかもしれません。

 

2022年9月13日火曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その20

P10 国立国会図書館蔵

(読み)

あくる

あくる


日お尓ども

ひおにども


もんをひら

もんをひら


いて可う

いてこう


さん奈春

さんなす


よしを

よしを


申  いで

もうしいで


(大意)

あくる日

鬼どもは門を開き

降参することを

申し出て


(補足)

「申いで」、カタカナ「ヤ」のようにみえるのが「申」のくずし字。

 豪華な絵です。桃太郎の頭のうしろにあるのが桃なのかどうかがP7のところではよくわかりませんでしたが、ここでははっきりと桃であることがわかります。桃の葉も確認できます。また旗竿の先のお飾りの桃はここぞとばかりに目立つように立派に、葉も葉脈まで一本一本くっきりと描かれています。

 腰掛けも凝ったつくりで蛇腹のような筒状になったものです。まさかこのまま押しつぶして持ち運びができるものではないでしょうけど。そして桃の絵がいくつも描かれています。

 刀の柄も大小ともに丁寧に刻んでいます。桃太郎は自信満々。

 

2022年9月12日月曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その19

P9下段 国立国会図書館蔵

(読み)

▲△もの

  もの


お尓

おに


ども

どお


春る

する


どき

どき


个ん

けん


さ起尓

さきに


あ多り

あたり


可゛多く

が たく


やおもひ

やおもい


个ん

けん


ミもく

みもく


春ミ

すみ


可へ尓げ

かへにげ


こミ

こみ


可多く

かたく


とざして

とざして


まもり

まもり


ゐる

いる


(大意)

(さす)がの鬼どもも

鋭い剣先に

応戦するのも困難と

おもいました。

身体は傷だらけになってかわりはて

(鬼の館に)逃げ込み

門をかたく閉ざして

守りました。


(補足)

「もの」「おもひ」「まもり」、の「も」は「の」にかたちがにています。

「あ多り」、しかえし、復讐の意味もあるようです。

「ミもく春ミ可へ」、今どきはさすがにこのような古風な表現はつかわないようです。

 

2022年9月11日日曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その18

P9中段後半 国立国会図書館蔵

(読み)

▲者゛うせん奈せ

 ぼうせんなせ


どももゝ太郎

どもももたろう


可゛志き尓

が しきに


志多可゛ひさる

したが いさる


きじひつしを

きじひっしを


きハめてせめ

きわめてせめ


多つ連バさし▲△

たつればさし


(大意)

防戦しましたが

桃太郎の指揮に

したがって、猿

雉死にものぐるいで

攻め立てたので

(さすがの)


(補足)

上段の▲印からのつづきです。

「者゛うせん」、旧仮名遣いでは実際の発音と書き言葉が一致しません。その対応関係はゆるい規則がありますので一度は学んでおいたほうが無難です。

「きじひつしを」、「し」が縦棒「|」になってます。「ひつし」は「羊」ではありません。

 

2022年9月10日土曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その17

P9中段前半 国立国会図書館蔵

(読み)

さるものあり

さるものあり


とハ王可゛こと

とはわが こと


奈り

なり


さる

さる


とハ\/

とは


奈可\/

なかなか


てづよい

てづよい


者多ら

はたら


き多゛

きだ


(大意)

なかなか使える者がいるというのは

おれのことだ。

猿というのは

なかなか手ごわい

働きをするものだ。


(補足)

P8下段「「多゛い尓つ本゜ん

もゝ可らう満

連太郎の

ミうち尓」の続きになります。

「さるものあり」、「然る者」です。もちろんダジャレで「猿」をかけています。

「とハ\/」、繰り返し記号がありますが、「とはとは」では変ですし「さるとはさるとは」ではなんとか意味が通じますけどやはりなんか変。

 鬼の表情がどこかひょうきんです。鬼のパンツはふんどしに短めの藁(わら)暖簾のようなフリルが定番です。それと武器は槍や日本刀とはことなった、地獄の閻魔様がもっているようなものです。

 

2022年9月9日金曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その16

P9上段 国立国会図書館蔵

(読み)

P8上段より

げぢを奈し

げじをなし


そ連\/

それそれ


てく者゛り

てくば り


奈春を

なすを


見てお尓

みておに


ども大 き

どもおおき


尓おどろ起

におどろき


うつていで▲

うっていで


(大意)

(さるいぬきじに)

命令して

それぞれに

細かい指示を与えているのを

見て、鬼どもは

大変に驚きました。

攻めに出て▲


(補足)

P8の上段からの続きになります。

「下知」、読みは「げぢ」でも「げち」でもよいようです。

「そ連\/」、これも濁点があってもなくてもよさそうです。「それぞれ」。

 鬼たちが桃太郎たちにくらべると全体に小さく描かれ、逃げ腰で劣勢の感じがみてとれます。

 

2022年9月8日木曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その15

P8下段 国立国会図書館蔵

(読み)

「ものども

 ものども


春ゝめ

すすめ


\/ \/

すすめすすめ


「多゛い尓つ本゜ん

 だ いにっぽ ん


もゝ可らう満

ももからうま


連太郎 の

れたろうの


ミうち尓

みうちに


(大意)

「ものども

すすめ

すすめすすめ

「大日本

桃からうま

れ太郎の

身内に


(補足)

「もゝ可らう満」、「可」「ら」「う」はみなよくにているので、何度か目をとおさないとわかりません。桃太郎侍の決めゼリフ「ももからうまれたももたろう」でした。