2026年10月7日水曜日

大日本物産圖會その108

P108 「船橋市西図書館所蔵」「画像の無断ダウンロード禁止」

P108_1

(読み)

丹 波 國 燧  石 切 出 之圖

たんばのくにひうちいしきりだしのず


燧石(ヒウチイシ)ハ氷上(ヒカミ)郡 の内 所 々 よ

   ひうちいし は   ひかみ ぐんのうちしょしょよ


里産 須゛土中  尓ある石 尓し

りさんす どちゅうにあるいしにし


て其 形 ち水晶(スヰシヤウ)のことし其 色

てそのかたち   すいしょう のごとしそのいろ


白 きあり鼠(ネズミ)色 あり金属(カネノルヰ)

しろきあり  ねずみ いろあり   かねのるい


を以て戛撃(タゝキ)すれば則火を

をもってたたきすればすなわちひを


発 す此 火を莔麻炭(ホクチ)尓うつし

はっすこのひを    ほぐち にうつし


て火を點(テン)ず故 尓火打 石 と

てひを  てん ずゆえにひうちいしと


称  して民 家尓用 ひざる処  奈し

しょうしてみんかにもちいざるところなし

(大意)

略

(補足)

「戛」、「かつ」と読み、「戛戛(かつかつ)『堅い物の触れる音を表す語。』」「戛然(かつぜん)『堅い物が触れて出る音のさま』」など熟語あり。なので「戛撃」は「かつげき」と読むのかな。

「莔麻炭(ホクチ)」、『ほくち【火口】① 燧(ひうち)を打ちつけて火をうつしとるもの。イチビの茎を炭にしたものや,茅花(つばな)(チガヤの花)やパンヤに焼酎・焰硝を加えて製したものを用いる。ほくそ。』

「莔麻」、『いちび【〈莔麻〉】① アオイ科の一年草。インド原産。高さ約1.5メートル。全体に軟毛が密生する。葉は心臓形。夏,黄色五弁の小花をつける。茎の皮から繊維を取り,ロープ・麻袋などに用いる。キリアサ。② 綱麻(つなそ)の別名。』

 詞書きのとおり、「土中尓ある石尓して其形ち水晶(スヰシヤウ)のことし其色白きあり鼠(ネズミ)色あり」ですので、石工さんたちが掘っているところだけ色がことなっています。そのまわりの黒ずんだ岩石の濃淡が上手。

 火打ち石は鉄などの金属で打ち付けたときに火花が散りますが、それは石から火の粉が出るのではなく、打ち付けた金属の粉が一瞬に酸化して火花になっているので、石どうしを打ち付けても火花はでません。

 この物産図会が出版される前後にマッチが製造されて、あっという間に火打ち石で火をつける習慣はなくなりました。現在ではアウトドアで使われています。

 

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