2022年9月7日水曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その14

P8上段 国立国会図書館蔵

(読み)

◯もゝ

 もも


太郎 ハ

たろうは


お尓可゛

おのが


志まへ

しまへ


ち可つき

ちかつき


个連バさる

ければさる


いぬきじ尓

いぬきじに


(大意)

桃太郎は鬼ヶ島へ

近づいたので

猿、犬、雉に


(補足)

いままで「志満」だったのが「志ま」となりました。

 目がチカチカするほどの衣装柄が画面の半分ちかくをしめているような感じです。

大将の桃太郎は従者犬を脇に下知をとばしています。ここでは猿が主役のようで、ほかはまぁまぁという描き方。とてもにぎやかな場面です。

 

2022年9月6日火曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その13



P7下段 国立国会図書館蔵

(読み)

●(P6より)多゛んご

        だ んご


をもら

をもら


ひてもゝ

いてもも


太郎 尓

たろうに


志多可゛ひ

したが い


お尓可゛

おにが


志まへと

しまへと


いそ起゛

いそぎ


个る

ける


(大意)

だんごをもらって

桃太郎に従って

鬼ヶ島へと

急ぎました。


(補足)

「もらひてもゝ太郎」、「も」はほとんど平仮名「の」になっています。「郎」のくずし字は2行手前の「ら」に「ゝ」がついたようなかたち。

 桃太郎の頭の上にある白い空間は、すきまを埋める工夫かとおもいきや、雉(きじ)がもつ旗竿の吹き流しでありました。

 雉も桃太郎も、絵師のしっている絵柄や紋章をすべて描きなぐったという様子。ド派手でありますけど、歌舞伎舞台でもこんなのがありました。

 

2022年9月5日月曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その12

P7上段 国立国会図書館蔵

(読み)

▲△(P6上段より)可゛

         が

もゝ

もも


太郎

たろう


さ満

さま


おこし

おこし


尓ついて

について


ゐるのバ

いるのは


なんで

なんで


ござ

ござ


い

い


ま春

ます


尓つ本゜んX

にっぽ ん


X一 のきミ多ん

 いちのきみだん


ご多゛ひとつ

ごだ ひとつ


く多゛さい□

くだ さい


(大意)

(猿)が「桃太郎様お腰についているのは

なんでございます」ときけば

「日本一のきみだんごだ」

「ひとつください」(P6下段へ)


(補足)

 子どもの頃に何度も歌った童謡は脳髄の奥の奥まで染み付いて覚えているようです。

〽も〜も、たろさん、ももたろさん。おこしについたぁきびだんごぉ、ひとつ〜わたしにくださいな〜

ちょうどこの歌詞の場面のようです。

「ゐるのハ゛」、バはまちがって刻んでしまったようですが、きっと「いへバ」というよくある言い回しとかんちがいしたのかもしれません。

「尓つ本゜ん」、濁点はよくでてきます。「゜」(半濁点)はどちらかといえば珍しい。

「きミ多んご多゛」、濁点のつけわすれがあります。濁点については全般に鷹揚な気がします。

 桃太郎の背中にさしてある旗竿の先端には桃がついています。同じようなものが桃太郎の髪の毛の左側にも見受けられますがこれも桃でしょうか?

 

2022年9月4日日曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その11

P6下段 国立国会図書館蔵

(読み)

□(P7より)

おともを

おともを


い多しませ う

いたしましょう


といへバもゝ

といえばもも


太郎 ハ

たろうは


こし

こし


より

より


きミ

きみ


多゛ん

だ ん


ごを

ごを


あ多

あた


へ

え


个れ

けれ


者゛

ば


あと

あと


より

より


いぬきじ

いぬきじ


も

も


お奈じ

おなじ


くきミ●(P7へ)

くきみ


(大意)

お供をいたしましょうというと

桃太郎は腰よりきみだんごを与えると

あとから犬、雉(きじ)も同じく

きみ(だんご)


(補足)

 P6P7は見開きで文章が書かれているので、P6上段からP7上段につながりそれがP6下段へつながってP7下段となります。それぞれ文末文頭につながりの合印(▲△など)がついています。

「おとも」、ここの「も」は「し」のながれでそのまま左回りに書き始めあたりでまで上がってクルッとまわします。2行あとの「もゝ」はそれとはことなる筆順です。

「こしより」が「こゝ」にみえます。

 桃太郎といえば岡山名物吉備団子で「きび」のはずですけどここでは何度も「きミ」となっています。まぁどちらもおいしそうですからかまわないのですけど、出版人や絵師のこだわりがありそうです。

 犬の衣装の派手なこと、きっと桃太郎の次ぐらいにキンキラキンの色づかいだとおもいます。

おじいさんおばあさんが見送る手前側が川面のようにみえます。でも描き方は日本独特のすきまを埋める雲のようなものになっています。

 

2022年9月3日土曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その10

P6上段 国立国会図書館蔵

(読み)

[つゞき]

多くと

たくと


申 シ

もうし


きミ

きみ


多んごを△

たんごを


△こし

 こし


らひもらひ王可゛や

らいもらいわが や


を

を


いで

いで


多る

たる


とち う

とちゅう


尓て

にて


さる▲△(P7へ)

さる


(大意)

(過ごさせ)たいのですと申し、

きみだんごをこしらえてもらい

わが家を出発しました。

その途中、猿(が)


(補足)

「多んご」、「多゛」の濁点をつけわすれたか彫り忘れたかなのですが、「こ」には濁点があるのでさてどうしたことか。まぁ読んでいるとよくあることです。

「こしらひもらひ」、こしらえてもらいとすぐに理解できます。文法的にはどうなっているのでしょう?

おじいさんとおばあさんの衣装柄は最初の頁から変わっていません。卍と菱形の四つ星。

 

2022年9月2日金曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その9

P5下段 国立国会図書館蔵

(読み)

▲△志満へ

  しまへ


まゐり

まいり


多可ら

たから


ものを

ものを


とりて

とりて


まゐり

まいり


おふ多り

おふたり


をあん

をあん


らく尓春ご

らくにすご


させ[つ起゛へ]

させ つぎ へ


(大意)

(鬼ヶ)島へゆき

宝ものをとってきましょう。

お二人を安楽に

過ごさせ(たいのです)


(補足)

文末、枠の中は「つだへ」ではなく「つ起゛へ」です。

 部屋と庭の出入りに使う踏み台は太い材木を輪切りにしたものです。幹の樹皮は細かく描いていますが切断面の年輪はなぜか適当です。またもうひとつの踏み台というか小さな腰掛けが餅つきの手水の桶の台になっています。この小さな桶も手を抜くことなくしっかりと存在感があります。

 じじばばの視線の先は桃太郎の頭ではなく杵にむかっています。桃太郎の力あふれる餅のつきっぷりはさぞかし「きミのよいおと可゛」庭に響きわたったのでしょう。

 

2022年9月1日木曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その8

P5上段 国立国会図書館蔵

(読み)

▲春る尓志多可゛ひ

 するにしたが い


ち可らハ人 尓春ぐ

ちからはひとにすぐ


連多りある日

れたりあるひ


ぢゝい者゛ゝあ尓

じじいば ばあに


いひ

いい


个るハお尓可゛▲△

けるはおにが


(大意)

(成長)するにしたがい

傑出した力持ちになっていました。

ある日、じじいとばばあに言うには

「鬼ヶ(島へ)


(補足)

「お尓可゛(志満)」、「お」が「か」にみえてしまいます。

絵を拡大してみると、縁の下に非常に細かい網目模様があります。暗がりを表現するためでしょうけど、それにしてもそのこだわりがすごい。