P13 東京国立博物館蔵
P12
(読み)
市(イチ)町(マチ)とて芝 居もアリ遊 女 なども来 リ居(イル)
いち まち とてしばいもありゆうじょなどもきたり いる
と云 さて家 ニ鼻 で者う様 なる老婆(ロウバ)
というさていえにはなではうようなる ろうば
目能た々れ多る女 二 人居て喰 事をコシラヱ
めのただれたるおんなふたりいてしょくじをこしらえ
燈火(トモシヒ)くらく(クラク)一 向 尓喰(クヱ)春゛夫 故 此 様 なる時
ともしび くらく いっこうに くえ ず それゆえこのようなるとき
ハ酒 を呑ミ心 を転 シ亦 夜具(ク)あるや定 メて
はさけをのみこころをてんじまたや ぐ あるやさだめて
キタナからんと思 ヒしうち尓向 フを紫(ムラサキ)の色
きたなからんとおもいしうちにむこうを むらさき のいろ
能さ免切ツ多る衣服 着(キ)て女 能通 リ个る故
のさめきったるいふく き ておんなのとおりけるゆえ
あれハ何ンシヤと老 婆ニ聞キし尓あれハ遊女(シヨ ロ)
あれはなんじゃとろうばにききしにあれは じょろう
なりと云 さらバ遊 女 屋ヘ行(ユキ)て遊 ふべし何(イツク)尓有(アリ)
なりというさらばゆうじょやへ ゆき てあそぶべし いずく に あり
やと問ふ尓遊 女 屋ハなし爰 へおよびヤレ
やととうにゆうじょやはなしここへおよびやれ
P12
田夫の家 ニて
たふのいえにて
石 炭 をたく
せきたんをたく
保能う出て
ほのおでて
燃 ル
もゆる
亦 一 ぺん炭 ニ
またいっぺんすみに
燃 多るハ保のふ
もえたるはほのお
出て春゛
いでず
(大意)
略
(補足)
「鼻で者う様なる老婆」とは、これまたあまり耳に目にしない表現。そしてもう一人は「目能た々れ多る女」ときては、「燈火(トモシヒ)くらく」て食事がすすまないと灯りを理由にしてますが、こんな二人じゃ食えるものも食えないなと言っているようなものです。
P12は「石炭をたく」のがめずらしかったためでしょうか、画にしています。ここ嶋田村より西へしばらくゆけば、日本有数の宇部炭鉱があります。
「保能う」「保のふ」、変体仮名「保」(ほ)はしばらく出てきてませんでした。
炉端の老女、つぎのある衣服ですけど火付けの様子は暖かそう。炉端には薪や枝ではなく、石の塊のような石炭があります。
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