P2 東京国立博物館蔵
P7大畠能瀬戸
(読み)
砂 路ニして歩 か多し葦(ヨシ)能一 丈 余 なる者
すなじにしてあゆみがたし よし のいちじょうあまりなるもの
枝 ありて太 シ之 ハ濱 よしと云 物 可一 方 ニハ
えだありてふとしこれははまよしというものかいっぽうには
一 面 尓生(ハヱ)てあり一 向 人 能往 来 なき所
いちめんに はえ てありいっこうひとのおうらいなきところ
故 尓我 等を見て何(イツ)く能人 と問(トフ)夫 より山
ゆえにわれらをみて いず くのひとと とう それよりやま
尓登 リ見(ミル)尓嶋 能間 僅(ワツカ)尓して潮ヲ瀧(タキ)能如 ク
にのぼり みる にしまのあいだ わずか にしてしお たき のごとく
急流(キ ウリ ウ)なり岩 石 数 \/出て舩 其 間(アイ)タ
きゅうりゅう なりがんせきかずかずでてふねその あい だ
を乗(ノル)事 也 爰 を大 畠 の瀬戸と云 爰 ヲ
を のる ことなりここをおおばたけのせとというここを
過 しハ大 畠 村 尓入 ル空腹(フク)ニなり个連ど喰
すぎしはおおばたけむらにはいるくう ふく になりけれどしょく
店(テン)なし爰 ニ肴 屋ありて赤えゐと云 魚 の
てん なしここにさかなやありてあかえというさかなの
切 可けあり傍 尓土(ト)竃(ヘ ヅイ)あり个連ハ吾カボク
きりかけありわきに ど へっつい ありければわがぼく
P7
大 畠 能瀬戸
おおばたけのせと
潮 ノミチニ乗ル
しおのみちにのる
舩 走 ル事 如矢
ふねはしることやのごとし
(大意)
略
(補足)
「丈」、『① 尺貫法の長さの単位。一〇尺。1891年(明治24)100メートルを三三丈と定めた』。約3.3mなので、かなり背の高い葦です。
説明文の画がP7です。
江漢さんの筆致は柔らかく丸いので、「潮ヲ瀧(タキ)能如ク急流(キウリウ)」でも、どこかのどかなのんびりした様子になってしまいます。
しかし「西遊旅譚巻二」の同じ「大畠の瀬戸」では、いくらか荒々しい急流として描かれています。
川下りの急流では長い竿を船頭は使います。ここでもそのように操船しているようですけど、こちらは海、それほど深いところではなかったのでしょうか?
調べてみると『柳井市大畠地区と屋代島の間の大畠瀬戸は、昔から海上交通の要衝として知られ、干潮の急流で発生する渦潮は、日本3大潮流にも数えられています。最狭部約700m、最大潮流約9ノット、水深約20mで、その渦潮は万葉集にも詠われており、全長1020mの大島大橋の橋上からは迫力のある渦潮を眼下に望むことができます』とあって、長い竹竿は岩石にぶつからないように使ったのでしょう。
「土(ト)竃(ヘ ヅイ)」、土でつくった竈(かまど)。
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