2025年5月30日金曜日

江漢西遊日記四 その12

P17 東京国立博物館蔵

(読み)

脇差(ワキサシ)を二本 さして一(イ)ツ保゜んミじかゐとて

   わきざし をにほんさして  い っぽ んみじかいとて


笑 ヒけり此 節 稲 の出来秋 百  性  いそ

わらいけりこのせついねのできあきひゃくしょういそ


可゛し爰 を出て程 なく戸石 と云 処  へ出ツ

が しここをでてほどなくといしというところへいず


往 来 なり夫 より徳 山 なり之 まで四

おうらいなりそれよりとくやまなりこれまでし


里の路 なり夫 より福 川 冨(トノ)ミへ二里宮 市 へ二里

りのみちなりそれよりふくかわ  との みへにりみやいちへにり


此 間  舟 渡 しありおかう里四里あり山中(ヤマナカ)ヘニ

このあいだふなわたしありおごうりしりあり   やまなか へに


里半 此 間  長 門能城  下萩(ハキ)へ行 路 アリ此

りはんこのあいだながとのじょうか  はぎ へゆくみちありこの


山中(ヤマナカ)尓泊 ル爰 ハ一向(コウ)尓旅 人 宿 なし宿  内 一 町

   やまなか にとまるここはいっ こう にたびびとやどなししゅくないいっちょう

者かり

ばかり


あり此 日短 日 尓十  四 里程歩(アルキ)多りハタコ料  理ハ

ありこのひたんじつにじゅうよんりほど あるき たりはたごりょうりは


シン菊 能ひ多し物 能ミ薪(タキキ)高 シとて風呂(フロ)

しんぎくのひたしもののみ  たきぎ たかしとて   ふろ


毛多てづ

もたてず

(大意)

(補足)

「一(イ)ツ保゜ん」、ここでも半濁点「゜」の◯がはっきりです。

「出来秋」、『できあき。秋の,稲の実る頃』。知らない単語でした。

「百性」、は百姓。

「戸石」「徳山」「福川」「富海(とのみ)」「宮市」「小郡」「長門」「萩」など村や街の名前が続きます。古地図でもいくつかの村が確認できます。 

「此日短日尓十四里程歩(アルキ)多り」、なんとナント56kmです!日本橋から平塚宿の手前辺りまで、短日ですから丸一日かからないで、歩いていることになります、いやいや健脚で健康。

 疲れ果てているだろうに、おかずは「シン菊能ひ多し物能ミ」(シンギクは春菊)とは、それに風呂にも入れず。不平をいうのもわかります。

 

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