P15 東京国立博物館蔵
(読み)
入 个る尓一 袮入 して目覚(サメ)聞ク尓人 声 能して
いりけるにひとねいりしてめ ざめ きくにひとごえのして
外 を通 リける芝 居春ミ見 物 能者 ノかえ
そとをとおりけるしばいすみけんぶつのもののかえ
るなり程 なく鳥 能声 烏(カラス)津げ渡 リて
るなりほどなくとりのこえ からす つげわたりて
夜も明 て着(キ)多る物 を見ル尓誠 尓戸板 能
よもあけて き たるものをみるにまことにといたの
様 尓厚 くさし糊(ノリ)を剛(コハク)付くる蒲(フ)とん
ようにあつくさし のり を こわく つくる ふ とん
なり彼 目くされ女 と老 婆手鼻 をかミ\/
なりかのめぐされおんなとろうばてばなをかみかみ
こしらへ喰 事を出し个り
こしらえしょくじをだしけり
廿 九日 天 氣朝 六 時 尓爰 を出て一 二町
にじゅうくにちてんきあさむつどきにここをでていちにちょう
行 と河 アリ舟 なし渡 ル水 誠 尓津め多し
ゆくとかわありふねなしわたるみずまことにつめたし
半 里行 て濱 邊尓出て松 原 を通 り越シ
はんりゆきてはまべにでてまつばらをとおりこし
(大意)
略
(補足)
「一袮入して」、変体仮名「袮」(ね)はよく出てきます。
「彼目くされ女と老婆手鼻をかミ\/」、ラーメンに指を突っ込んで、よぼよぼ運んでくる婆さんと同じようなことでしょうけど、江漢さんはちっとも冗談のつもりで言ってないとおもいます。それにしてもなんともおかしく笑えます。
「廿九日」、天明8年9月29日。西暦1788年10月28日。
「水誠尓津め多し」、「水」のくずし字はなんともとらえどころのない形。しかし特徴的なので覚えやすい。変体仮名「津」(つ)は変体仮名「保」(ほ)とにています。3行目「津げ渡リて」にもあります。
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