2025年5月28日水曜日

江漢西遊日記四 その10

P15 東京国立博物館蔵

(読み)

入 个る尓一 袮入 して目覚(サメ)聞ク尓人 声 能して

いりけるにひとねいりしてめ  ざめ きくにひとごえのして


外 を通 リける芝 居春ミ見 物 能者 ノかえ

そとをとおりけるしばいすみけんぶつのもののかえ


るなり程 なく鳥 能声 烏(カラス)津げ渡 リて

るなりほどなくとりのこえ  からす つげわたりて


夜も明 て着(キ)多る物 を見ル尓誠  尓戸板 能

よもあけて  き たるものをみるにまことにといたの


様 尓厚 くさし糊(ノリ)を剛(コハク)付くる蒲(フ)とん

ようにあつくさし  のり を  こわく つくる  ふ とん


なり彼 目くされ女  と老 婆手鼻 をかミ\/

なりかのめぐされおんなとろうばてばなをかみかみ


こしらへ喰  事を出し个り

こしらえしょくじをだしけり


廿   九日 天 氣朝 六 時 尓爰 を出て一 二町

にじゅうくにちてんきあさむつどきにここをでていちにちょう


行 と河 アリ舟 なし渡 ル水 誠  尓津め多し

ゆくとかわありふねなしわたるみずまことにつめたし


半 里行 て濱 邊尓出て松 原 を通 り越シ

はんりゆきてはまべにでてまつばらをとおりこし

(大意)

(補足)

「一袮入して」、変体仮名「袮」(ね)はよく出てきます。

「彼目くされ女と老婆手鼻をかミ\/」、ラーメンに指を突っ込んで、よぼよぼ運んでくる婆さんと同じようなことでしょうけど、江漢さんはちっとも冗談のつもりで言ってないとおもいます。それにしてもなんともおかしく笑えます。

「廿九日」、天明8年9月29日。西暦1788年10月28日。

「水誠尓津め多し」、「水」のくずし字はなんともとらえどころのない形。しかし特徴的なので覚えやすい。変体仮名「津」(つ)は変体仮名「保」(ほ)とにています。3行目「津げ渡リて」にもあります。

 

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