2025年5月7日水曜日

JAPANESE STORY-TELLERS その17

P15 個人蔵

(読み)

Reaching out his hand from time to time,

he seizes the kettle and pours himself out

a cup of warm water, which he drinks in

a very leisurely manner so as to re-

cover breath and choose his

next phrase.

(大意)

 時折、手を伸ばし、やかんを手にとり、茶碗に湯を注ぐ。彼はゆったりとした動作で飲むのだが、それはまるで息を整え、次の言葉をさがすためにしているようにも見える。

(補足)

 真打ちの高座(羽織には柄が入ってます)、背筋をキリッと伸ばし、おもむろに白湯を飲むながら今夜のお客さんたちを右から左、上から下へとゆっくり眺めわたします、絵師もうまいものです。古風な昔の高座を演出して、現在の浅草演芸場でやっているといわれても、何の違和感もありません。

 しかし、お客さんたちは当時の方々。最前列、右から二人目と三人目は年寄り夫婦のように見えます。女性の方が少し背中が丸くなっているのでそうなのかと、そしてその左隣に孫でしょうかね、絵師は人物をよく見ています。

 

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