2026年8月28日金曜日

大日本物産圖會その68

P68 東京都立図書館蔵

P68_1

(読み)

信 州  蕎麦切 製 造 之図

しんしゅうそばきりせいぞうのず


蕎麦(ソハ)ハ諸國尓培養(バイヤウ)すといへ

   そば はしょこくに ばいよう すといえ


ども當 国 更 科 郡 を名産(メイサン)

どもとうごくさらしなぐんを   めいさん


とす葉ハ三稜(ミカド)にして薄(ウス)く

とすはは   みかど にして  うす く


小白 花 をひらき三稜 の実

こしろはなをひらきみかどのみ


をむすぶ初 秋  尓種 を下 し

をむすぶしょしゅうにたねをくだし


冬 尓い多りて刈 とり磑(カラウス)尓て

ふゆにいたりてかりとり  からうす にて


ひ起殻(カラ)を去り絹(キヌ)ふるひ尓

ひき  から をさり  きぬ ふるいに


可けて末 粉 をなし湯に

かけてすえこなをなしゆに


て凌(コネ)ひら目にのへ天細

て  こね ひらめにのべてほそ


奈可゛くきり熻(ユカキ)天食  用 に

なが くきり  ゆがき てしょくように


供  須

きょうす

(大意)

(補足)

「三稜」、『さんりょう【三稜】① かどが三つあること。また,三つのかど。三角』。蕎麦の葉はハート型です。実は三角錐の底辺同士をくっつけたような形で、めちゃくちゃ硬い。

「からうす」、『からうす【唐臼・碓】① 臼を地中に埋め,柄の端を足で踏み,杵(きね)を上下させて穀類を搗(つ)く仕掛けのもの。踏み臼。かるうす』

「凌(こね)」、『しの・ぐ【凌ぐ】』。この漢字の意味はどうみても、粉をこねるという意味はなさそうにおもうのですが。

「熻」、『ゆがき(かわゆがき / かゆがき)」は、主にお粥(おかゆ)や雑炊などの、水分が多くて温かい食べ物を指す言葉』。「火」+「合」+「羽」。はじめてみる漢字です。

 絵の構図が、庭の奥と蕎麦をゆがいている二方向の2点透視図のようになっていて、絵師はその技巧をまだ修得イマイチの感じ。そば切りのところの灯り蝋燭の柱はふつうの角材、蕎麦を朱塗り漆器に盛っているところのは枯れた黄色の竹で、ちょっとおしゃれ。

 で、そのふたつの作業場をよ〜く見てみると、蕎麦をのばしている職人さんの影がうっすらとのし板に、そして蕎麦盛りのふたりの娘さんにも、ひとつは畳に、もうひとつは土壁に、これまたうっすらとこちらはなにげに見事であります。子どもをおんぶした御婦人はそば粉をふるいにかけています。

 手ぬぐいを掛けている青竹を吊るしてある(詞書きの巻物にかくれてしまってますが左の端にかけ紐がみえてる)ところや、蕎麦猪口の入れ物である桐の箱を置いたりと、なかなか手がこんで細かい。

 いやいやこんなところでひとすすりしてみたいものです。

 

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