2026年8月14日金曜日

大日本物産圖會その54

P54 国立国会図書館デジタルコレクション蔵 

P54_1

(読み)

同 鯛 網 之圖

どうたいあみのず


縄 の両  端(ハシ)へ各 舩 二艘 ツゝをつけ

つなのりょう  はし へかくふねにそうずつをつけ


網 舩 二艘 ハ先 尓進 ミて麾(ザイ)

あみふねにそうはさきにすすみて  さい


をふり又 一 艘 ハ縄 の沈(シヅ)まざる

をふりまたいっそうはつなの  しず まざる


多め真 中 を採(ト)り麾(ザイ)をふりて

ためまんなかを  と り  さい をふりて


号令(ゴウレイ)を下す 然 して魚  の集

   ごうれい をくだすしかしてさかなのあつまり


多るを見て先 尓進 ミ多る網 舟

たるをみてさきにすすみたるあみふね


後  尓廻 り網 を者れバ初  の二艘

うしろにまわりあみをはればはじめのにそう


縄 を放 つ網 舟 の二艘 港板(ミヨシ)をやり

つなをはなつあみぶねのにそう   みよし をやり


違(チガエ)て網 を志本゛る余 の舟 多満網 尓

  ちがえ てあみをしぼ るほかのふねたまあみに


て網 中 の魚  をとり小舟 うつす也

てあみなかのさかなをとりこぶねうつすなり

(大意)

(補足)

「同」、淡路国。

「麾(ザイ)をふり」、『き 【麾】① 軍隊を指揮する旗。「麾下」「麾扇」「麾兵」

② 指図する。「指麾」』。『「采を振る(さいをふる)」とは、采配を振る(采配を振るう) と同じ意味』。『さい【采】を振(ふ)る。人にさしずをする。指揮して物事を行なう。ざいを振る』。昨日の画で、ブリ綱の両端の舟で赤い旗を振っているのがこのこと。

「港板(ミヨシ)」、『みよし【水押・舳】〔「みおし」の転『みおし【水押・〈船首〉 】』〕① 船首先端の水を切る部材で,船体構成上の主要材。近世以来,水切りのよい一本水押が主用されて和船の特徴の一つとなった。みおし。によし。にょし。ねうし。 →和船② 〔 →1からの転〕船首。 ↔とも』

「多満網」、たも網、たものこと。

 大量の鯛を描くこともさることながら、漁師たち一人ひとりの顔の表情やそれぞれの作業の動きを絵師は描きたかったのではとおもいます。彼らの顔を拡大してみると皆必死で、大漁に胸躍っているのが伝わってきます。

「44備前国白魚漁之圖」でも空中の網の画が見事でしたが、ここでは海中に半分沈む網。それでも質感と遠近があり網目をとおして波が見えているところなど、絵師・彫師・摺師の技が見事であります。

 和船が舳先から艫(とも)まで細かく描くこと、これまた丁寧です。絵師たちの気持ちがこの画にたいして入れ込んでいるのがよくわかります。

 

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