2022年8月31日水曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その7

P4 国立国会図書館蔵

(読み)

[つゞき]

 つづき


二 人の

ふたりの


よろ

よろ


こび

こび


大可多

おおか


奈ら春゛

ならず


もゝ太郎

ももたろう


と奈づけ

となづけ


せいてう▲(成長)

しちょう


「きミのよい

 きみのよい


おと可゛

おとが


春る

する


(大意)

つづき

二人の喜びようはそれはすごいものでした。

桃太郎と名付け、

成長(するにしたがい)

「気持ちの良い音がする


(補足)

「せいてう」、旧仮名遣いはなれていてもふとこれはなんだというようなことがあります。

 体をくの字にして力いっぱいの餅つきですが頭の位置が下すぎるのか構図がもう一息です。杵を左利きの構えで持っています。右利きの構えで持つと左手が前にきてからだの正面を隠すことになってしまうので、それを避けているのだとおもいます。絵師のいろはなのでしょう。

 当時の豆本出版にたずさわった人たちは、まさか後世の人が手にして読んでいるとはこれっぽっちもおもってなかったはずです。ましてやそれを拡大して細かく仕上がりをたしかめるなんて、まさかの出来事であります。

 隅から隅まで拡大してみてみましたが、手抜きのての字もみあたりません。ほんとに細かく精緻に刻んでいます。銅版だとおもうのですけど、嬉々として背を丸め仕事をしている姿が思い浮かびます。上部の花の丸い描き方は他の部分とタッチがことなっています。花と杵が重なる部分もあって、なにか工夫したのでしょうか。

 

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