2022年8月13日土曜日

花咲ぢヾい(木村文三郎) その7

P4後半 国立国会図書館蔵

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P5

(読み)

のき多奈起ものやいぬ

のきたなきものやいぬ


のふんあま多いで多る

のふんあまたいでたる


を見て大 い尓い可り

をみておおいにいかり


可のいぬをうちころし

かにいぬをうちころし


きの志多へうづめ个り

きのしたへうづめけり


せ うぢ起ぢゝい奈げ起

しょうじきじじいなげき


し可゛そのよの由め尓

しが そのよのゆめに


いぬき多りこ連まで▲

いぬきたりこれまで


(大意)

汚いものや犬

の糞がたくさん出てきたのを

みて、大変に怒り

あの犬を打ち殺して

木の下に埋めてしまいました。

正直じじいは嘆きま

したが、その夜、夢に

犬があらわれ、これまで


(補足)

「いで多るを見て」、たいていはカタカナ「ミ」ですけど、ここは漢字「見」。

変体仮名「可」(か)のかたちにまぎらわしいのがたくさんでてきています。「う」「り」「ろ」。

 鋤(すき)を振るう欲深じじい、両脚踏ん張りなかなか立派な姿です。ばばあは縦縞でしたがじじいは格子縞です。やはり体の線や動きに合わせて微妙に柄を変化させています。鋤は簡素に丁寧に描かれていて鉄の刃の部分がリアル。刃のうしろの立木は葉の茂り具合まで描き込まれていますし、両手の上の葉(実?)は小さな丸いかたちをたくさん繰り返しかいています。

 

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