2022年8月29日月曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その5

P3下段 国立国会図書館蔵

(読み)

△山 よりぢゝ

 やまよりじじ


いの可へり

いのかえり


をまちて

をまちて


もゝを

ももを


ふ多つ

ふたつ


尓王れ

にわれ


バもゝ

ばもも


の奈可

のなか


より

より


多満

たま


のやう

のよう


奈る

なる


をと

おと


この

この


こ可゛

こが


う満

うま


連多れ

れたれ


バ[つぎへ]

ば つぎへ


(大意)

山から帰ってくるじじいをまって

ももを二つにわると

桃のなかから

玉のようなおとこの子が

生まれたので、


(補足)

 下段につなぎの△印がありますので、こちらが先になりました。

「多満のやう」「う満連多れバ」の変体仮名「満」(ま)は特徴的なかたちなので、一度おぼえれば読み間違えることはありません。平仮名「ま」も「可へりをまちて」などで使われています。

 生まれたばかりの桃太郎は簡素な筆さばきですが、顔の表情は錦絵の見得の雰囲気があります。

 柾目の板模様は年輪にしたがって間隔を変化させて描くのが定石ですが、縁側や桶、柱などがそのようになっています。また部屋の壁はひびがあって、隙間からは下地の葦や竹の格子を描くのがこれまた定番です。

 おばあさんのひっくりかえり倒れる寸前の描写は簡単でなく難しい、上手ですね。

 

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