2022年8月30日火曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その6

P3上段 国立国会図書館蔵

(読み)

者゛ゝ

ば ば


「あめの

「あめの


奈可

なか


可ら

から


お多

おた


さん可゛

さんが


で多と

でたと


いふ

いう


个れ

けれ



もゝの

ももの


奈可

なか


可ら

から



ぞう

ぞう


可゛で多

が でた


とハきゝま

とはききま


せんこ連ハ

せんこれは


志んぶんや

しんぶんや


もの多゛

ものだ


(大意)

ばばあ

「飴の中からお多(福)さんが

出てきたとはいうけれど、

桃の中から小僧が出たとは

聞いたことがありません。

これは新聞ネタものだ。


(補足)

 出だしの文字は「お」に「ゝ」をつけ忘れたのではなく、平仮名「あ」です。この時代の「あ」は縦棒がまっすぐ。

「あめの奈可可らお多さん可゛で多」、最初意味がよくわかりませんでした。いろいろ調べてなるほどど。「お多さん」はお多福さんのことでした。金太郎飴の金太郎をお多福にしたお多福飴でした。「奈可」と「可ら」の変体仮名「可」のかたちがずいぶん異なっています。同じ言い回しが9行目にもありますが、こちらの変体仮名「可」はいくらかにています。

「志んぶんやもの多゛」、新聞というものがまだでて10年ちょっとのときにこの言い回しはなかなか斬新だったのかもしれません。まぁそれ以前に瓦版が定着していましたから気持ちの上ではそれほどの変化はないとおもいますが「新聞」という言葉の響きは「ざんぎりあたまをたたいてみれば文明開化の音が」したのかもしれません。

 障子がまっすぐの線できれいに描かれています。みじかで使用されているもので数百年から千年くらいかもっと、変わってないものの筆頭はこの障子があげられます。木と紙とのりだけ。わが家でも部屋の全てに障子がありますが、とてもすぐれています。

 

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