2022年8月27日土曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その3

P1 国立国会図書館蔵

(読み)

む可し\/

むかしむかし


ぢゝいと

じじいと


者゛ゝア

ば ばあ


可゛▲


▲ありて

 ありて


ぢゝいハ

じじいは


やまへ

やまへ


志者゛可り尓

しば かりに


由き者゛ゝ

ゆきば ば


あハ川 へせん

あはかわへせん


多く尓[つぎへ]

たくに つぎへ


(大意)

むかしむかしじじいと

ばばあがいました。

じじいは山へ芝刈りに

ゆき、ばばあは

川へ洗濯に


(補足)

 この豆本の絵師は最後の頁に「幾英筆」とあります。小林英次郎です。たくさんの豆本の絵をかいていて、飛幾亭、箴飛亭(しんぴてい)の号で記されていることもあります。このBlogでもアップしてあります。

 読みにくいところはありません。おばあさんのうしろは定石にのっとり、ほどよい草山があり立木に続いてその奥に民家の藁葺き屋根がみえて、遠方には山を描きます。

 川の流れを細い線で丁寧に表現し、一番大事な桃はなんとも簡素な描き方、これでは丸い石ころになりそうかと心配したのか桃の葉をそえています。おばあさんのように着物を端折って川に入っている光景はもう見られなくなってしまいました。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿