2022年8月12日金曜日

花咲ぢヾい(木村文三郎) その6

P4前半 国立国会図書館蔵

P4拡大

P5

(読み)

◯ものをえんといぬ

 ものをえんといぬ


つ連由くまへのごとく

つれゆくまえのごとく


奈し多る由へよくふ可

なしたるゆえよくふか


ぢゝい者゛ゝあハよろ

じじいば ばあはよろ


こびそのところを本

こびそのところをほ


りてミれバこハい可

りてみればこはいか


尓多可らものきん\゛/

にたからものきんぎ ん


ハいで春゛していろ\/

はいでず していろいろ


(大意)

(宝)ものを得ようと

犬を連れてゆきました。

前のときと同じようにしたので

欲深じじいとばばあは喜び

そのところを掘ってみました。

しかしこれはどうしたことか、

宝物や金銀は出ず、いろいろな


(補足)

「本りてミれバ」、平仮名「れ」を使うこともあります。

「こハい可尓」、読めてしまえばなんともないのですけど、「こ」が「と」?、「可」が「る」?など悩みました。

 欲深ババアの石持つ右手のたくましきこと、左手の握りしめたる拳の恐ろしきこと。わんこの悲痛な表情と目が恐怖でいっぱい。

 ばばあの縦縞の柄がからだの動きにそっています。描くのはやさしそうで難しい。

背景の木や小川さらにその奥は民家の屋根に山々が静かにそびえ、まさに静と動。怖さをいっそう感じさせます。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿