2022年8月28日日曜日

桃太郎一代記(木村文三郎) その4

P2 国立国会図書館蔵

(読み)

[つゞき]

 つづき


由起し可゛

ゆきしが


川 可ミ

かわかみ


より

より


大 起奈

おおきな


もゝ可゛

ももが


奈可゛れ

なが れ


き多

きた


連バ

れば


者ゝあハ

ばばあは


ミるより可のもゝ

みるよりかのもも


をとりて王可゛やへもち

をとりてわが やへもち


可へり▲

かえり


(大意)

つづき

行きましたが

川上より

大きな桃が

流れてきたので

ばばあは見るとすぐに

その桃をとりあげ

わがやへ持ち帰りました。


(補足)

「もゝ可゛」、ここの「も」はちょっとわかりにくですが、このあとにでてくるふたつの「も」も、筆順は同じで、「し」のようにかきはじめて、最下部で左回りにSの字のようにさかのぼり上部で今度は右回りに次の字へむかいます。

「奈可゛れき多連バ」、平仮名「れ」、変体仮名「連」(れ)、両方使われています。

 見開きの絵なので、滝のようにみえるのは幼い桃太郎が桶から流しているところです。水が縁側にぶつかってくだける水しぶき、北斎のを意識してまねているのかもしれません。細かく描写されています。桶を拡大してみると水しぶきの描写に負けず劣らず精緻に描かれています。

 前頁でじじいの山の芝刈りの様子が籠をしょって小さく描かれています。着物柄が卍で、この頁とおなじになっています。

 

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