2021年12月15日水曜日

桃山人夜話巻三 その37

P23前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   五舩幽霊

多゛以尓志゛うろくふ奈ゆう連以

だ いにじゅうろくふなゆうれい


長  門の国 早 鞆 の沖 尓ハ舩 幽 霊 登天海 上  尓幾

奈可゛と く尓者やとも 於き  ふ奈ゆう連以  可以せ う いく

なが とのくにはやとものおきにはふなゆうれいとてかいじょうにいく


百  人 とも奈く阿るハ甲 冑  越帯 せしごとき姿   の

ひやく尓ん       可つち う 多以     春可゛多

ひゃくにんともなくあるはかっちゅうをたいせいごときすが たの


人 阿らハ連幻   のごとく尓往 来 の舩 者゛多尓取 附

ひと    まぼろし     おうら以 ふ奈    とりつき

ひとあらわれまぼろしのごとくにおうらいのふなば たにとりつき


(大意)

第二十五船幽霊

長門の国の早鞆の沖には、船幽霊というものが海上に幾百人ともなくあらわれる。

あるものは甲冑を身に着けたような姿であらわれ、行き交う船ばたに幻のように取り付き


(補足)

「廿五」の振り仮名が(尓志゛うろく)とまちがえています。この頁も中央を虫食いで文字が何箇所も欠けています。

「国」と「百」のくずし字の違いはわずか。

 早鞆ときて甲冑ときたら源平合戦の古戦場です。幽霊はそのときの武士たちでしょうか。

 

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