P23前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 廿 五舩幽霊
多゛以尓志゛うろくふ奈ゆう連以
だ いにじゅうろくふなゆうれい
長 門の国 早 鞆 の沖 尓ハ舩 幽 霊 登天海 上 尓幾
奈可゛と く尓者やとも 於き ふ奈ゆう連以 可以せ う いく
なが とのくにはやとものおきにはふなゆうれいとてかいじょうにいく
百 人 とも奈く阿るハ甲 冑 越帯 せしごとき姿 の
ひやく尓ん 可つち う 多以 春可゛多
ひゃくにんともなくあるはかっちゅうをたいせいごときすが たの
人 阿らハ連幻 のごとく尓往 来 の舩 者゛多尓取 附
ひと まぼろし おうら以 ふ奈 とりつき
ひとあらわれまぼろしのごとくにおうらいのふなば たにとりつき
(大意)
第二十五船幽霊
長門の国の早鞆の沖には、船幽霊というものが海上に幾百人ともなくあらわれる。
あるものは甲冑を身に着けたような姿であらわれ、行き交う船ばたに幻のように取り付き
(補足)
「廿五」の振り仮名が(尓志゛うろく)とまちがえています。この頁も中央を虫食いで文字が何箇所も欠けています。
「国」と「百」のくずし字の違いはわずか。
早鞆ときて甲冑ときたら源平合戦の古戦場です。幽霊はそのときの武士たちでしょうか。
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