2021年12月8日水曜日

桃山人夜話巻三 その29

P17前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   四赤 ゑいの魚

多゛以尓志゛うしあ可   うを

だ いにじゅうしあかえいのうお


安房の国 野嶋 可゛﨑 と以へる所  尓又六  佐吉 登

阿王 く尓のじ満  さき    ところ ま多ろくさきち

あわのくにのじまが さきといえるところにまたろくさきちと


天婦多りの船 人 ありき王免天舩 の上  手奈里

     せんどう      ふ年 ぜう づ

てふたりのせんどうありきわめてふねのじょうずなり


个れバ風 波をもいと者須゛し天大 可多ハ出  帆  しつ

   ふう者         於本   志由つ者゜ん

ければふうはをもいとわず しておおかたはしゅっぱ んしつ


る尓阿る時 大 船 尓うちの里个れバ難 風 尓てい

    とき於本ぶ年        奈んぷう

るにあるときおおぶねにうちのりければなんぷうにてい


(大意)

第二十四赤えいの魚

安房の国の野島が崎というところに又六と佐吉という

二人の船頭がいた。きわめて船のあつかいがうまかった

ので風や波もかまわずにたいていは出帆していた。しかし

あるとき大きな船に乗っているときのこと、大風に吹かれて


(補足)

 お歯黒べったりの顔が気になるところではありますが、今度は海のおはなし。

頁の中央を横断するように波形に虫食い?のような跡があって文字が欠けているところがあります。

「嶋」の「山」が上部に移動しています。下の部分のくずし字は「鳥」のくずし字と同じです。「山」があるのが「嶋」でないのが「鳥」。

「崎」or 「﨑」も「嶋」と同様で「山」が冠の位置になってます。

「婦多り」、「ふ多り」でいいじゃないかとおもっても変体仮名「婦」(ふ)。

「船人」で「せんどう」と読ませています。

「き王免天」、変体仮名「王」(わ)の中央が欠けて「こ」のようになってます。

「出帆」、振り仮名「者゜」が半濁音記号「゜」です。すぐ左の行の「難風」の「ぷ」も同様。

 

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