P18後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
も奈く人 も奈し水 越もとむる尓ミ奈潮 奈り个れ
ひと ミづ うし本
もなくひともなしみずをもとむるにになうしおなりけれ
者゛是非奈く立 帰 り天ミ奈\/舩 尓の里十 町
ぜひ 多ち可へ ふ年 志゛つて う
ば ぜひなきたちかえりてみなみなふねにのりじゅっちょう
者゛可里も者奈れ多りと思 ふころ彼の嶋 と覚 し
於も 可 し満 お本゛
ば かりもはなれたりとおもうころかのしまとおぼ し
きハ海 水 尓沈 めり是 果 し天大 魚 也 と云 伝 へり
可いす以 しづ これハ多 多以ぎよ いひつ多
きはかいすいにしずめりこれはたしてたいぎょなりといいつたえり
(大意)
もなく、人もいなかった。水を求めようとも、みな海水なので
仕方なく立ち帰り、全員で船に乗った。十町(約108m)
ばかりも離れたかとおもうころ、かの島のようにみえていた
ものは海に沈んでしまった。これはやはり巨大魚だったのだろうと
言い伝えられている。
(補足)
この行に「も」が3箇所でてきます。3つともかたちが異なっています。「む」の上半分は虫食いのためか欠けています。このあとの3行分も同じ位置の文字「ミ」「ふ」「天」が食われている様子。
「水」(みず)、ここの「水」はほぼ楷書ですが、3行隣の「海水」の「水」はとても書けそうもないかたち。
「是非」、「非」のくずし字は「飛」のくずし字の下半分とほぼ同じです。「飛」のくずし字は「非」のくずし字の上に「ユ」のようなかたちのものがつきます。
どうせ信じてもらえそうもないはなしなら、でっかく大風呂敷を広げて目を白黒させてやりたいもの。このような大ぼらめいたお話は大好きです。大笑いしたあと、でもとちょっと不安にさせるような心持ちになってしまう・・・、ホントかなぁでもまさかなぁ、う~ん・・・。何かの折、沖に出たときになどフッと思い出すはずです。
0 件のコメント:
コメントを投稿