2021年12月16日木曜日

桃山人夜話巻三 その38

P23後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

浪 越阿ら多゛て風 越起 し天ひさげを多べと天舩

奈ミ      可ぜ 於こ          せん

なみをあらだ てかぜをおこしてひさげをたべとてせん


人 越なや満せりやむこと越え須゛し天柄杓  を可

どう                ひ志やく

どうをなやませりやむことをえず してひしゃくをか


せバ潮  を船 中  尓組 入れ天舩 越沈 免んとせり

  うし本 せんち う くミい  ふ年 しづ

せばうしおをせんちゅうにくみいれてふねをしずめんとせり


登楚゛依 天渡海 の人 \/ハ舩 尓底 をぬき多

   よつ と可以 ひと   ふ年 そこ

とぞ よってとかいのひとびとはふねにそこをぬきた


(大意)

波を荒立て風を起こし「提子(ひさげ)をくれ」と

船頭を悩ませていた。仕方なく柄杓を貸すと

海水を汲んで船中に入れ、船を沈めようとしたという。

そのため航海する人々は船に底を抜いた


(補足)

「ひさげを多べと天」、ひさげは平べったいお銚子のようなもの、または平べったい急須のような形をしたものです。なので「酒をくれ」と言っているのだとおもいますが、酒をのんだりお銚子をくれ、というのを「たべる」と言うのかがどうもわかりません。

「なや満せり」、変体仮名「満」(ま)以外は現在でも通用するきれいな平仮名。

「やむこと越え須゛し天」、「こと」は合字。「え」が立派で大きな平仮名です。

 

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