P23後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
浪 越阿ら多゛て風 越起 し天ひさげを多べと天舩
奈ミ 可ぜ 於こ せん
なみをあらだ てかぜをおこしてひさげをたべとてせん
人 越なや満せりやむこと越え須゛し天柄杓 を可
どう ひ志やく
どうをなやませりやむことをえず してひしゃくをか
せバ潮 を船 中 尓組 入れ天舩 越沈 免んとせり
うし本 せんち う くミい ふ年 しづ
せばうしおをせんちゅうにくみいれてふねをしずめんとせり
登楚゛依 天渡海 の人 \/ハ舩 尓底 をぬき多
よつ と可以 ひと ふ年 そこ
とぞ よってとかいのひとびとはふねにそこをぬきた
(大意)
波を荒立て風を起こし「提子(ひさげ)をくれ」と
船頭を悩ませていた。仕方なく柄杓を貸すと
海水を汲んで船中に入れ、船を沈めようとしたという。
そのため航海する人々は船に底を抜いた
(補足)
「ひさげを多べと天」、ひさげは平べったいお銚子のようなもの、または平べったい急須のような形をしたものです。なので「酒をくれ」と言っているのだとおもいますが、酒をのんだりお銚子をくれ、というのを「たべる」と言うのかがどうもわかりません。
「なや満せり」、変体仮名「満」(ま)以外は現在でも通用するきれいな平仮名。
「やむこと越え須゛し天」、「こと」は合字。「え」が立派で大きな平仮名です。
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