2021年12月20日月曜日

桃山人夜話巻三 その42

P25後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

をいひ於ふせ須゛し天死せし人 の念 ハ可奈ら須゛と

          し  ひと 袮ん   

をいいおうせず してしせしひとのねんはかならず と


も尓其 家 尓残 りとゞまりといふこといと浅 ましき

  曽のいゑ のこ            あさ

もにそのいえにのこりとどまりということいとあさましき


ことども奈り仁  義の道 尓明 ら可奈る時 ハ無事

      志゛んぎ ミち 阿き    とき ぶじ

ことどもなりじ んぎのみちにあきらかなるときはぶじ


の節 尓いひ置 ぬることミ奈遺 言 なれ者゛死期

 せつ   於き      ゆひごん    しご

のせつにいいおきぬることみなゆいごんなれば しご


(大意)

を言い果たせずに死んだ人の念は必ず

その家に残りとどまるといい、たいへんに嘆かわしい

ことである。人としての道徳を見失ってなければ、普段の

生活で言い置いたことがみな遺言になるのだから死に際に


(補足)

「をいひ於ふせ須゛し天」、「を」を変体仮名「者」(は)、「い」を「ら」と読んで「はらいおおせず」と間違えてしまいました。変体仮名「者」(は)は「を」や「む」と形が似ているので注意です。

「人 の念 ハ可奈ら須゛とも尓」、変体仮名「奈」(な)が読みづらい。「とも尓」がよくわかりません。

「無事」、「無」のくずし字が難しい。

「いひ置ぬることミ奈」、「い」と「ひ」は間違えやすいですが、ふたつ並んで見比べてもやはりよくにています。「こと」は合字、2行前にもあります。「ミ」の3画目が「奈」に続いているのでちょっと悩みます。

「死期」、「後」のくずし字ではなく「期」(ご)のくずし字なので「死後」と間違えないように。

 ちと耳の痛い説法を聞くようです。なるほど「仁義の道を明らかに」しておけばよいのですが、ウーン、なかなかねぇ。

 

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