P26前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
尓い多りて別 尓いひ残 春ことさら尓阿るべ可らざ
べつ のこ
にいたりてべついいいのこすことさらにあるべからざ
る奈り行 住 座臥 の行 ひも跡 尓のこり天人 の
个゛うぢ うざぐ王 於こ奈 阿と ひと
るなりぎょうじゅうざが のおこないもあとにのこりてひとの
多めとならざることハミ奈無益 の多王ことゝ知
むやく しる
ためとならざることはみなむやくのたわごととしる
遍゛し人 多る者 世尓生 れ天ハ天 道 への奉 公 一 言
ひと ものよ う満 てんとう 本うこういちごん
べしひとたたるものよにうまれてはてんどうへのほうこういちごん
多りとも世の為 と奈る詞 ハのこ春べし金 銭 ホ
よ 多免 こと者゛ きんせんとう
たりともよのためとなることば はのこすべしきんせんとう
(大意)
(死に際)にいたって、特別に言い残すことはさらにあるはずが
ないのである。日常の立ち居振る舞いも跡に残るのだから、人の
ためにならないことはみな無駄なことであり馬鹿げたことであると知
るべきである。人たる者、この世に生まれたからには天上の世界のために奉公し
たとえ一言であっても世のためとなる言葉を残すべきである。金銭など
(補足)
ここの「いひ」も、「い」と「ひ」はよくにています。
「行住坐臥」、「臥」のくずし字がサッパリですが、きっとこれ一文字だけではでてこないので大丈夫(かな)。
「人の多め」、この2行あと「世の為」では振り仮名が変体仮名「多」(た)と変体仮名「免」(め)になっています。
「天道」、「道」のくずし字はとても特徴的でかえって覚えやすい。このくずし字の上に「小」をのせると「常」のくずし字になります。
「奉公一言」は四文字熟語ではなく、「奉公」できれます。そして「一言多りとも」と異なる文節になります。
「世の為」、「為」のくずし字がどうもそれっぽくみえません。
ウーン、ここでも行住坐臥、普段の生活をきちんとしておけばよいのだとは納得するところではありますが、ありますけど・・・、そしてさらに、世のためになる言葉をたとえ一言でもよいのだから残しなさいなんて、わたしは何も残さずきれいサッパリとあとかたなく去りたいとおもっているんです。
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