2021年12月14日火曜日

桃山人夜話巻三 その36

P22 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

舩 幽 霊

ふ奈由ふ連い

ふなゆうれい


西 海 尓い川゛るよし

さい可い  

さいかいにいず るよし


平 家一 門 の死霊

へいけいちもん し連う

へいけいちもんのしりょう


の奈須所  と奈ん

   ところ

のなすところとなん


いひつ多ふ

いいつたう


(大意)

船幽霊

西海に出るという。

平家一門の死霊

のなすところである

と言われている。


(補足)

 前段では赤エイという巨大魚の話で、今回も同じ海にまつわる話であります。本文より先に画があります。

 頭に三角マークをつけた幽霊たちの表情はなぜか皆朗らか。まぁそんな幽霊がいたって楽しくってよいのですけど。桶をかついで柄杓で海水をすくい入れている様子です。何のためにしているのでしょうか。画の手前にふたつの温泉マークみたいのがあってこれは暗赤色をしています。人魂ではなさそうだし、海藻でしょうか?画はとても丁寧に描かれていて紐の結び目などその結び方がわかるほどです。海上でこんな光景にであったらやはりためらわずに逃げると思います。

「霊」のくずし字というか異体字が「ヨ」+「大」になってます。「ヨ」+「火」もあるようです。まちがえそうなのが「己」+「大」で、これは「異」です。古文書の「異国船」ではたいていこの異体字になっています。

 

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