2021年12月18日土曜日

桃山人夜話巻三 その40

P24後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

この可多多え天可ゝる奇異のこと越ミたる者

          きゐ       もの

このかたたえてかかるきいのことをみたるもの


奈しといへり平 家の一 門 こゝ尓亡 び多る一 念 の

      へいけ いちもん   本ろ   いち袮ん

なしといえりへいけのいちもんここにほろびたるいちねんの


残 りしとハいへども婦人 女 子ホ ハ格 別 知 毛り

のこ        ふじん尓よしとう 可くべつとも

のこりしとはいえどもふじんにょしとうはかくべつとももり


能登どのホ 尓於 てハこゝ尓出 ること阿るべ可ら須゛歟

のと  とう おゐ     いづ          可

のとどのとうにおいてはここにいずることなるべからず か


(大意)

このようなことは絶えてなくなり、かってあった奇異の出来事を見た者は

いないという。平家の一門がここで滅び、その一念が

残ったとはいうものの、女子どもらは別として、知盛(とももり)や

能登殿(のとどの)などはここに現れることはないのではなかろうか。


(補足)

知盛(とももり)は平知盛で平清盛の四男、能登殿は平教経(のりつね)で平清盛の弟教盛(のりもり)の子。もう誰が誰だったかなんて忘れてしまっています。

「この可多多え天可ゝる」、変体仮名「可」(か)と変体仮名「多」(た)が二箇所ずつ出てきてますが形が異なっていて悩ましいし、意味もどうもつかみきれないところです。

「こと越ミたる」、「こと」は合字。「ミ」が読みづらい。

「亡び多る」、「多る」が悩みどころ。

「格別」、ここでは、別にしての意。

「能登」、「登」が変体仮名「登」(と)のくずし字とは異なっています。

 

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