P16前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 廿 三 歯黒 遍゛つ多り
多゛以尓志゛うさん者ぐろ
だ いにじゅうさんはぐろべ ったり
歯ぐ路べつ多りをうる里 女 とも又 東 国 尓天ハのつ遍゛ら
者 をん奈 ま多とうごく
はぐろべったりをうるさとおんなともまたとうごくにてはのっぺ ら
坊 とも云 多 くは狐狸の化 曽こ奈ひし奈り新 燈 開
本゛う いふ於本 こり 者け 志んとう可い
ぼ うともいうおおくはこりのばけそこないしなりそんとうかい
語尓水 神 の本こらの前 尓天女 尓阿ふ神 の名越
ご 春以しん まえ をん奈 可ミ
ごにすいしんのほこらのまえにておんなにあうかみのなを
志りつゝ女 尓問ふ答 へ須゛して行 袖 をひ个バ振 むき
をん奈 と こ多 ゆく曽で ふり
しりつつおんなにとうこたえず してゆくそでをひけばふりむき
(大意)
第二十三歯黒べったり
歯黒べったりを売る里の女とも、また東国では「のっぺら坊」
とも言われている。多くは狐や狸の化けそこなったものである。新燈開語
に次のようにある。「水神の祠(ほこら)の前で女に会った。神の名を
知ってはいたがその女に尋ねてみた。答えずに行こうとするので袖を引いたところ振り向い(て)
(補足)
「うる里女」、変体仮名「里」(り)ではおかしいので、漢字の「里」で里女(さとおんな)。
「のつ遍゛ら坊」、変体仮名「遍゛」(べ)は「゛」が付いていますが発音は半濁点「゜」で「ぺ」。
「水神」の「神」はほぼ楷書ですが、同じ行の下にある「神の名」ではくずし字になってます。
「本こら」、文章の流れから「祠」(ほこら)とわかりますが、「こら」の読みが悩む。
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