2021年12月6日月曜日

桃山人夜話巻三 その27

P16前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   三 歯黒 遍゛つ多り

多゛以尓志゛うさん者ぐろ

だ いにじゅうさんはぐろべ ったり


歯ぐ路べつ多りをうる里 女  とも又 東 国 尓天ハのつ遍゛ら

者           をん奈  ま多とうごく 

はぐろべったりをうるさとおんなともまたとうごくにてはのっぺ ら


坊  とも云 多 くは狐狸の化 曽こ奈ひし奈り新 燈 開

本゛う  いふ於本  こり 者け       志んとう可い

ぼ うともいうおおくはこりのばけそこないしなりそんとうかい


語尓水 神 の本こらの前 尓天女  尓阿ふ神 の名越

ご 春以しん     まえ  をん奈   可ミ

ごにすいしんのほこらのまえにておんなにあうかみのなを


志りつゝ女  尓問ふ答 へ須゛して行 袖 をひ个バ振 むき

    をん奈 と こ多     ゆく曽で    ふり

しりつつおんなにとうこたえず してゆくそでをひけばふりむき


(大意)

第二十三歯黒べったり

歯黒べったりを売る里の女とも、また東国では「のっぺら坊」

とも言われている。多くは狐や狸の化けそこなったものである。新燈開語

に次のようにある。「水神の祠(ほこら)の前で女に会った。神の名を

知ってはいたがその女に尋ねてみた。答えずに行こうとするので袖を引いたところ振り向い(て)


(補足)

「うる里女」、変体仮名「里」(り)ではおかしいので、漢字の「里」で里女(さとおんな)。

「のつ遍゛ら坊」、変体仮名「遍゛」(べ)は「゛」が付いていますが発音は半濁点「゜」で「ぺ」。

「水神」の「神」はほぼ楷書ですが、同じ行の下にある「神の名」ではくずし字になってます。

「本こら」、文章の流れから「祠」(ほこら)とわかりますが、「こら」の読みが悩む。

 

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