2021年12月28日火曜日

桃山人夜話巻四 その5

P3前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ゝ阿ること奈り東 武の東   在 所 さ可さいといへる村

            とうぶ ひ可゛しざ以しよ        むら

まあることなりとうぶのひが しざいしょさかさいといえるむら


尓天い奈りの宮 を建 る時 地を掘 天个れバ其

      ミや 多つ ときち 本り    曽の

にていなりのみやをたてるときちをほりてければその


丈 一 丈  者゛かり奈る蛇 越本り出  し多り子ども多 く

多けいちぜ う      へび   い多゛   こ  於本

たけいちじょうば かりなるへびをほりいだ したりこどもおおく


集  りて是 越とらへ石 の上 尓天小刀   を以 てニ

あつま  これ    いし うへ  こ可゛多奈 もつ 尓

あつまりてこれをとらえいしのうえにてこが たなをもってに


三 寸  づゝに切 竹 の串 尓さし天毛天遊  登せり

さん春゛ん   きり多け くし      阿そび

さんず んずつにきりたけのくしにさしてもてあそびとせり


(大意)

たまにあることである。江戸の東の田舎にある「さかさい」という村

で、稲荷の宮を建てるときのこと地面を掘ってみると

身の丈1丈(約3m)ほどの蛇が出てきた。子どもがたくさん

集まってきて、この蛇を捕らえ石の上で小刀を使い2,

3寸ずつに切り、竹の串に刺してもて遊んでいた。


(補足)

「宮」というくずし字は「宀」に「五」のくずしじのような形のものがよく出てきます。ここでは「宀」の部分が「ミ」のようにして「乙」に点のようなかたちになっています。

「本り出し多り」、前行では「掘天」(本りて)と漢字でした。同じ表現はなるべく繰り返さない。

「遊登せり」、変体仮名「登」(と)が二文字に見えますけどこれで一文字。

 「さかさい」がどの辺だろうと調べました。安藤広重「名所江戸百景 逆井乃わ多し」として描かれているくらい有名なところでした。現在の江戸川区。

 

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