P15前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 廿 二帷子 辻
多゛以尓志゛う尓可多びら可゛つじ
だ いにじゅうにかたびらが つじ
檀 林 皇 后 ハ世尓多ぐい奈き美人 尓ておハし个れバ多 くの
多゛ん里んくハうごう よ びじん 於本
だ んりんこ うごうはよにたぐいなきびじんにておわしければおおくの
ひと\゛/見奉 り天此 君 尓心 越動 可さゞるハ奈可り个り隠
ミ多て満つ このきミ こゝろ うご 可く
ひとび とみたてまつりてこのきみにこころをうごかさざるはなかりけりかく
連させ給 ひ个る時 御遺 言 尓尸 越埋 め須゛し天辻 尓捨 へし
多満 ときごゆひ个ん 奈き可ら うづ つじ 春つ
れさせたまいけるときごゆいごんになきがらをうずめず してつじにすつべし
(大意)
第廿二帷子辻
檀林皇后(だんりんこうごう)は世に比類なき美人でいらしたので、多くの
人々はご尊顔を拝するとこの君に心を動かさないものはいなかった。お亡く
なりになるときご遺言に「亡骸は土に埋めず、辻に捨ててください。
(補足)
「世尓多ぐい奈き」、「く」と「い」の一部分がかけています。すぐには読めませんでした。
「美」の下半分がかけています。
「ひと\゛/」、「ひ」と「と」が合体して合字のよう。
「奉り天」(多て満つりて)、振り仮名を読むのも大変。
「動可さゞるハ」、振り仮名「うこ」のしたに変体仮名「可」があるようにもみえますがさて?「さゞる」、「ゝ」に「゛」がありません。ここの本文には他にも「゛」がないところが何箇所かあります。
「隠」の振り仮名が一文字のようにみえますけど、小さな変体仮名「可」があります。
「尸」の振り仮名でも「可」のところが欠けています。どうやらここから右へ「越」と「美」まで虫食いがあるのかもしれません。ちなみに「尸」は「しかばねかんむり」とはしりませんでした。
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