P27 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
遺 古゛ん幽 霊
由い 由ふ連い
ゆいご んゆうれい
水 乞 由ふれ以
ミづこ以
みずこいゆうれい
遺 云 を得
由いごん ゑ
ゆいごんをえ
い王須゛ま多ハ
いわず または
飢渇 して
き可つ
きかつして
死せし者 ハ
し もの
しせしものは
迷 ひ出 天
まよ いで
まよいいでて
水 を乞 物
ミづ こひもの
みずをこいもの
悲 しげ尓泣
可奈 奈き
かなしげになき
さけぶ事 楚゛
さけぶことぞ
あさまし起
あさましき
(大意)
遺ごん幽霊
水乞ゆうれい
遺言を言うことができなかったり、または
飢えや渇きで死んでいった者は
迷い出て
水をもとめたり、もの悲しげに
泣き叫ぶという。
嘆かわしいことである。
(補足)
見出し2行に「ゆ」が三箇所出てきます。平仮名「ゆ」かとおもったのですが
変体仮名「由」(ゆ)でした。最初の「ゆうれい」は漢字で「れい」は異体字「ヨ」+「大」で、
次のは4文字みな平仮名。「水」はくずし字で、本文では楷書の「水」になってます。
「遺言を得」、見出しでは「古゛ん」だったのが、ここでは「言」。「得」(え)は「病を得」と同じような使い方。
「出」のくずし字を久しぶりに見ました。古文書を読んでいるとたくさん出てきます。
画の短い説明文でも、同じ単語でも形を変えたりと工夫が意識的にされているようです。こだわりが感じられます。
船幽霊でもそうでしたが、ここでも脚のない幽霊が差し出す椀は水ではなく酒ではとおもうほどに楽しそうであります。もらう方は乞うているはずなのに、「もう、そんなにのめねえよぉ」とまいっている様子。
画の左下箱の漢字がすべて読めません。宿題にします。
さてこれで巻三は終了。次回から巻四に入ります。
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