2021年12月3日金曜日

桃山人夜話巻三 その24

P14 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

加多飛ら可゛辻

      つぢ

かたびらが つじ


檀  林 皇  后 の御尊 骸 を捨 し故 尓や

多゛ん里んく王うごう ごそんがい 春て 由へ

だ んりんこ うごうのごそんがいをすてしゆえにや


今 毛折 ふしごとに女  の死可゛い見へ天

いま をり     おん奈 し     

いまもおりふしごとにおんなのしが いみえて


犬 烏  奈どのくらふさ満能見由るとぞ

いぬ可ら春

いぬからすなどのくらうさまのみゆるとぞ


いぶ可しき事 尓奈ん

     こと

いぶかしきことになん


(大意)

かやびらが辻(帷子辻)

檀林皇后の御尊骸を捨てたからだろうか。

今も時折、女の死骸があるようで

犬やからすなどが食らう様子を見ることができるという。

どのようなことなのか気になることである。


(補足)

 帷子辻の画が本文より先になりました。

「か多飛ら」の「か」は最初、平仮名かとおもいましたが、よく見ると変体仮名「加」でした。

振り仮名「多゛ん里んく王うごう」、変体仮名「里」と変体仮名「王」がにています。

「犬烏奈どのくらふさ満能見由るとぞ」、意味がわかってしまうとどうということはないのですが、「くらふさ満能」が何度か繰り返してやっと納得。「と」が合字の「こと」にみえますが、文意から「とぞ」。

「事」の振り仮名「こと」は合字。

 今でも京都太秦に京福電車停留場の駅名に「帷子ノ辻」(かたびらのつじ)があります。

なぜ皇后ともあろうお方がそこに捨てられたのかは本文を。

 

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