2021年12月31日金曜日

桃山人夜話巻四 その8

P4後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

来 ること奈し毛路こし尓東 坡 といふ人 の子庭

き多          とう者゛   ひと こ尓ハ

きたることなしもろこしにとうば というひとのこにわ


尓出 多るとき蛇 の大 い奈る可゛雀  の子越久ハへ多る

 いで    へび 於本     春ゞめ こ

にいでたるときへびのおおいなるが すすめのこをくわえたる


を見天哀  尓思 ひ竿 越取 天蛇 越打 尓蛇 ハ其

 ミ 阿ハれ 於も さ本 とり へび うつ へび 曽の

をみてあわれにおもいさおをとりてへびをうつにへびはその


侭 落 天雀  の子ハ危  き越逃  れ多りや可゛天曽の

まゝおち 春ゞめ こ 阿やう  の可゛

ままおちてすずめのこはあやうきをのが れたりやが てその


蛇 越うちこ路しつゝをの連ハ不仁 の毛の奈り

へび            ふじん

へびをうちころしつつをのれはふじんのものなり


(大意)

来ることはないのである。唐土(もろこし)に東坡(とうば)という人の子どもが庭に

出ていたとき、蛇の大きいのが雀の子をくわえているのを

見てかわいそうに思った。竿を取って蛇を打つと蛇はその

まま落ちて雀の子は危ういところを逃れることができた。すぐにその

蛇を打ち殺しながら「おまえは慈しむ心のないやつだ。


(補足)

「来ること奈し」、「ること」がやや悩む。「こと」は合字。

「東坡」(とうば)とは「蘇東坡」(そとうば)という人のことで「卒塔婆」(そとうば)とは関係がなさそうです。

「久ハへ多る」、「く」の上に「〃」があります。変体仮名「久」(く)。変体仮名「天」(て)とそっくりなので間違えやすい。

「こ路しつゝ」、「つゝ」が「个る」にも見えます。しかしそれだと話の内容がおかしくなる。

「や可゛天」、すぐに。ただちに。という意味もあることを知りました。

 

2021年12月30日木曜日

桃山人夜話巻四 その7

P4前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ら須゛曽れ与りし天病  と奈り久 しく奈やミ个る可゛

               やまひ   ひさ

らず それよりしてやまいとなりひさしくなやみけるが


医療  越得天後 尓愈 多りされども子どもホ可゛家

ゐ里やう え のち いゑ      こ  ら  いゑ

いりょうをえてのちにいえたりされどもこどもらが いえ


尓ハ蛇 の多ゝ里春こしも奈可りし是 己 れ尓感 じ思

  へび            これをの  可ん 於も

にはへびのたたりすこしもなかりしこれおのれにかんじおも


ふ可゛故 尓応 し天来 れり求 めざれバ鬼神 といふ共

   ゆへ 於う  き多  もと    きしん   とも

うが ゆえにおうじてきたれりもとめざればきしんというとも


(大意)

(蛇は)見えなかった。それからしばらくして村長は病となり長い間苦しんでいたが

治療のかいあり、後に回復した。しかし蛇をなぶり殺した子どもたちの家

には蛇のたたりは少しもなかった。これは村長自身が恐れを感じてしまった

がために、それに応じてたたりが来たのである。求めなければ鬼神といえども


(補足)

 使われている漢字は比較的楷書に近く、漢字のくずし字があってもなじみのあるものなので読みやすい文章です。

 恐れを感じたり、暗闇に何かいるのではないかとおびえたり、自分の心のすきに鬼神はやって来るものなのだと説くのですが、ウーン。まぁそういうところもあるにはあるでしょう・・・

 

2021年12月29日水曜日

桃山人夜話巻四 その6

P3後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

村 長 此 所  をとをり可ゝ里見天大 い尓恐 連

むら於さこのところ       ミ 於本  於曽

むらおさこのところをとおりかかりみておおいにおそれ


个れバ其 夜一 丈  者゛かりの蛇 村 長 可゛袮ま尓入

     よいちぜ う     へびむらをさ     いり

ければそのよいちじょうば かりのへびむらおさが ねまにいり


天枕  のもと尓息 越つきゐ多り村 長 大 い尓於ど

 まくら    いき      むらをさ於本

てまくらのもとにいきをつきいたりむらおさおおいにおど


路き天人 をして追 ハせ个る尓他の者 の目尓ハ可ゝ

   ひと   於ハ     た もの め

ろきてひとをしておわはせけるにたのもののめにはかか


(大意)

村長がちょうどそこを通りかかり、見て大変に恐れ

おののいた。その夜、一丈ばかりの蛇が村長の寝室に

入り枕元に息をついて居た。村長は非常に驚いて

人を呼んで追い払わせようとしたが、他の者の目には


(補足)

「とをり」、「と」が牛の角のようです。これ一文字だけだったら読めそうもありません。

「村長」の振り仮名が「於さ」「をさ」と異なっています。

「枕」(まくら)、「く」が「ム」のように平らです。

 村長たるもの村の子どもどもが蛇にそのような酷いことをしていたら、怒って説教しなければいけないとおもってしまうところですが、見過ごしてしまったための蛇のたたりかもしれません。 

2021年12月28日火曜日

桃山人夜話巻四 その5

P3前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ゝ阿ること奈り東 武の東   在 所 さ可さいといへる村

            とうぶ ひ可゛しざ以しよ        むら

まあることなりとうぶのひが しざいしょさかさいといえるむら


尓天い奈りの宮 を建 る時 地を掘 天个れバ其

      ミや 多つ ときち 本り    曽の

にていなりのみやをたてるときちをほりてければその


丈 一 丈  者゛かり奈る蛇 越本り出  し多り子ども多 く

多けいちぜ う      へび   い多゛   こ  於本

たけいちじょうば かりなるへびをほりいだ したりこどもおおく


集  りて是 越とらへ石 の上 尓天小刀   を以 てニ

あつま  これ    いし うへ  こ可゛多奈 もつ 尓

あつまりてこれをとらえいしのうえにてこが たなをもってに


三 寸  づゝに切 竹 の串 尓さし天毛天遊  登せり

さん春゛ん   きり多け くし      阿そび

さんず んずつにきりたけのくしにさしてもてあそびとせり


(大意)

たまにあることである。江戸の東の田舎にある「さかさい」という村

で、稲荷の宮を建てるときのこと地面を掘ってみると

身の丈1丈(約3m)ほどの蛇が出てきた。子どもがたくさん

集まってきて、この蛇を捕らえ石の上で小刀を使い2,

3寸ずつに切り、竹の串に刺してもて遊んでいた。


(補足)

「宮」というくずし字は「宀」に「五」のくずしじのような形のものがよく出てきます。ここでは「宀」の部分が「ミ」のようにして「乙」に点のようなかたちになっています。

「本り出し多り」、前行では「掘天」(本りて)と漢字でした。同じ表現はなるべく繰り返さない。

「遊登せり」、変体仮名「登」(と)が二文字に見えますけどこれで一文字。

 「さかさい」がどの辺だろうと調べました。安藤広重「名所江戸百景 逆井乃わ多し」として描かれているくらい有名なところでした。現在の江戸川区。

 

2021年12月27日月曜日

桃山人夜話巻四 その4

P2後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

念 も己 れ尓出 る時 ハ可奈ら須゛己 れ尓帰 る与り

袮ん 於の  いづ とき      をの  可へ

ねんもおのれにいずるときはかならず おのれにかえるより


外 ハ那しと志るべし子供 奈どハ数 多遍びを

本可        こども   あま

ほかはなしとしるべしこどもなどはあまたへびを


もうちころしま多ハ生 殺 し尓春ること阿れども

         奈まごろ

もうちころしまたはなまごろしにするkとあれども


其 心  無念 無想 奈れ者゛阿多をむくふこと奈し

曽のこゝろむ袮んむさう   

そのこころむねんむそうなれば あだをむくうことなし


只 是 越見て恐 連ぬる者 尓取 附 多る例  ハま

多ゞこれ ミ 於曽   もの とりつき  多めし

ただこれをみておそれぬるものにとりつきたるためしはま


(大意)

(悪)念も、自分自身から出るときは必ず自分自身に帰ってくる

他はないものであると知るべきである。子どもなどはたくさんの蛇を

なぶり殺したり半殺しにしたりすることがあるが、

彼らの心に邪念が何もないから仕返しされることはないのである。

ただ、これらの蛇が殺される様子を見て恐れをいだいた者に念が取り付いた例は


(補足)

「那しと」、いままで出てきた変体仮名「那」(な)のくずし方が少し異なっている形です。

「遍びを」、変体仮名「遍」(へ)を使ってます。同じ音がでてきたらなるべく異なる表現を使うようにしているこだわりがあるようです。

「阿多をむくふこと」、前頁にも出てきましたが、ここでもやはり「阿多」に濁点がありません。

「恐連ぬる」、「恐」と「思」のくずし字は似ています。「想」もやはり似ています。

 蛇をいたぶり殺すのに子どもも大人もあるかい!と怒っている人がたくさんいるようにおもいます。

 

2021年12月26日日曜日

桃山人夜話巻四 その3

P2前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ざる可゛ゆへ奈り登曽゛か多り伝 ふ其 ゆへい可尓とあ連

              つ多 曽の

ざるが ゆえなりとぞ かたりつたうそのゆえいかにとあれ


者゛こ奈多尓念 越残 春可゛ゆへ尓其 念 尓応 し天

      袮ん のこ      曽の袮ん 於う

ば こなたにねんをのこすが ゆえにそのねんにおうじて


来 る此 念 ハ毛のゝ心  を志り多る者 の多つこと阿

き多 この袮ん    こゝろ     もの 

きたるこのねんはもののこころをしりたるもののたつことあ


多ハざるとこ路奈り去 バ蛇 尓可ぎら須゛一 切 の悪

         され へび      いつさ以 あく

たわざるところなりさればへびにかぎらず いっさいのあく


(大意)

(とどめをささな)かったためであると語り伝えられている。その理由は

どうしてかというと、蛇がまだこちらに念を残しているために、その念の深さに応じて

現れて来るからである。この念は物事の道理を知り得ている者でも絶つことが

できないものである。それゆえ、蛇に限らず一切の悪(念)


(補足)

 いくらか読みにくく理解も難しいところです。何度も音読するうちに文節の区切りや言い回しの意味がわかってきました。

「来る」、次につながらずにここで切れます。

「とこ路奈り」、「と」の二画目が一画目よりずっと高い位置にあるので「己」のようにみえます。

 

2021年12月25日土曜日

桃山人夜話巻四 その2

P1後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

入れ天打 多る人 の眼  中 尓毒 氣をふき可け天

い  うち  ひと 可゛んちう どくき  

いれてうちたるひとのがんちゅうにどくきをふきかけて


病  と奈し頭  をうち落 し多る者 の釜 のうち耳

や満ひ   可しら   於と   もの 可満

なやいとなしかしらをうちおとしたるもののかまのうちに


とび入 天食  毒 尓奈や満せしも其 生 根 を多\/

  いり しよくとく       曽のせうこん

とびいりてしょくどくになやませしもそのしょうこんをたた


(大意)

(追い)込んで叩いた人の目にむけて毒を吹きかけ

病気にしたり、蛇の頭を切り落とした者の飯の釜の中に

飛び込んで食毒で悩ませたりしたのも、蛇にとどめをささなかった


(補足)

 わたしが子どもの頃、蛇はよく見かける生き物で大事にされていました。中には棒で押さえ下駄で踏み殺すような乱暴者もいて、きっとたたりがあったかもしれません。

「うち耳」、「に」の変体仮名は「尓」「丹」「仁」(これが崩れて「に」になった)がよく使われるようですが調べると「耳」もありました。ここの「干」に似た変体仮名に近かったのが「耳」だったのですが、よくわかりません。

 

2021年12月24日金曜日

桃山人夜話巻四 その1

P1前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

桃山人夜話巻第四

とうざんじんやわまきだいし


第  廿   七 手負 蛇

多゛以尓志゛うしちて於ひへび

だ いにじゅうしちておいへび


蛇 ハ陰 地尓生  じ天陰 氣を春く可゛ゆへ尓執  念 深 し

へび ゐんち せ う  ゐんき        志 う袮んふ可

へびはいんちにしょうじていんきをすくが ゆえにしゅうねんふかし


依 天手越負ハせ奈ま殺 し尓春る登きハ可奈ら

よつ て 於    ごろ  

よっててをおわせなまごろしにするときはかなら


春゛阿多をむくふ毛の奈りむ可し与里草 むら尓追

                 くさ   於ひ

ず あだをむくうものなりむかしよりくさむらにおい


(大意)

桃山人夜話巻第四

第二十七手負蛇

蛇は日の当たらない土地に生まれてジメジメしたところを好むので執念深い。

そのため傷を負わせ半殺しであると、必ず

仕返しをされる。昔より、草むらに蛇を追い(込んで)


(補足)

 巻第四は第二十七手負蛇から第三十五かみなりまでの9話となります。

「廿」は「十」がふたつならんで「十十」、「丗」はみっつならんで「十十十」。

「生じ天」、「し」の濁点が右下にあります。

「春く」、好くです。

「阿多をむくふ」、何度か読んでもわかりませんでしたが、「多゛」とすれば解決。

 ここではもちろん日本の蛇についてで、砂漠や乾燥地を好む蛇は世界中にいます。

 

2021年12月23日木曜日

桃山人夜話巻三 その45

P27 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

遺 古゛ん幽 霊

由い   由ふ連い

ゆいご んゆうれい


水 乞 由ふれ以

ミづこ以

みずこいゆうれい


遺 云 を得

由いごん ゑ

ゆいごんをえ


い王須゛ま多ハ

いわず または


飢渇 して

き可つ

きかつして


死せし者 ハ

し  もの

しせしものは


迷 ひ出 天

まよ いで

まよいいでて


水 を乞 物

ミづ こひもの

みずをこいもの


悲 しげ尓泣

可奈   奈き

かなしげになき


さけぶ事 楚゛

さけぶことぞ


あさまし起

あさましき


(大意)

遺ごん幽霊

水乞ゆうれい

遺言を言うことができなかったり、または

飢えや渇きで死んでいった者は

迷い出て

水をもとめたり、もの悲しげに

泣き叫ぶという。

嘆かわしいことである。


(補足)

見出し2行に「ゆ」が三箇所出てきます。平仮名「ゆ」かとおもったのですが

変体仮名「由」(ゆ)でした。最初の「ゆうれい」は漢字で「れい」は異体字「ヨ」+「大」で、

次のは4文字みな平仮名。「水」はくずし字で、本文では楷書の「水」になってます。

「遺言を得」、見出しでは「古゛ん」だったのが、ここでは「言」。「得」(え)は「病を得」と同じような使い方。

「出」のくずし字を久しぶりに見ました。古文書を読んでいるとたくさん出てきます。

 画の短い説明文でも、同じ単語でも形を変えたりと工夫が意識的にされているようです。こだわりが感じられます。

 船幽霊でもそうでしたが、ここでも脚のない幽霊が差し出す椀は水ではなく酒ではとおもうほどに楽しそうであります。もらう方は乞うているはずなのに、「もう、そんなにのめねえよぉ」とまいっている様子。

 画の左下箱の漢字がすべて読めません。宿題にします。

さてこれで巻三は終了。次回から巻四に入ります。

 

2021年12月22日水曜日

桃山人夜話巻三 その44

P26後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

尓心  ひ可され天妄 語越世界 尓止  ること阿るべ可ら須゛

 こゝろ     もうご せ可以 とゞむ   

にこころひかされてもうごをせかいにとどむることあるべからず


水 乞 幽 霊 ハ法 の道 尓うときや可らのうへ尓あり

ミづこひゆうれ以 のり ミち 

みずこいゆうれいはのりのみちにうときやからのうえにあり


法 を可多く守 りぬれバ甘露 の雨 越曽ゝぎて枯

本う    まも    可ん路 あめ     こ

ほうをかたくまもりぬればかんろのあめをそそぎてこ


渇 の身をうる本須こと諸 経  のうへ尓も明  可也

可つ ミ       志よ个 う     阿きら

かつのみをうるおすことしょきょうのうえにもあからかなり


(大意)

(金銭など)に心がなびき、嘘偽りをこの世に残すことはあってはならない。

水乞幽霊は仏道にかかわりのない者たちのまわりにあり

仏道をしっかりと守っていれば、甘露の雨が降り注いで枯渇した

身体を潤してくれることは様々な経典においても明らかなことである。


(補足)

「うときや可らのうへ尓あり」、虫食いがあり平仮名続きでどこが切れ目か一読ではわかりません。

「露」のくずし字の真上を虫食いがあってよくわからないので調べました。「路」がここにあるように「今」に似ている形のようです。

「うる本須」、「うる」が合字のようになっていてわかりずらい。

水乞幽霊は付け足しのようで、無理に記すこともなかったようにおもいます。

まぁ、お話の主旨は現在でもうなづくこと多い内容でありました。

 

2021年12月21日火曜日

桃山人夜話巻三 その43

P26前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

尓い多りて別 尓いひ残 春ことさら尓阿るべ可らざ

     べつ   のこ

にいたりてべついいいのこすことさらにあるべからざ


る奈り行  住  座臥 の行  ひも跡 尓のこり天人 の

   个゛うぢ うざぐ王 於こ奈  阿と     ひと

るなりぎょうじゅうざが のおこないもあとにのこりてひとの


多めとならざることハミ奈無益 の多王ことゝ知

            むやく      しる

ためとならざることはみなむやくのたわごととしる


遍゛し人 多る者 世尓生 れ天ハ天 道 への奉 公 一 言

   ひと  ものよ う満   てんとう  本うこういちごん

べしひとたたるものよにうまれてはてんどうへのほうこういちごん


多りとも世の為 と奈る詞   ハのこ春べし金 銭 ホ

    よ 多免   こと者゛      きんせんとう

たりともよのためとなることば はのこすべしきんせんとう


(大意)

(死に際)にいたって、特別に言い残すことはさらにあるはずが

ないのである。日常の立ち居振る舞いも跡に残るのだから、人の

ためにならないことはみな無駄なことであり馬鹿げたことであると知

るべきである。人たる者、この世に生まれたからには天上の世界のために奉公し

たとえ一言であっても世のためとなる言葉を残すべきである。金銭など


(補足)

ここの「いひ」も、「い」と「ひ」はよくにています。

「行住坐臥」、「臥」のくずし字がサッパリですが、きっとこれ一文字だけではでてこないので大丈夫(かな)。

「人の多め」、この2行あと「世の為」では振り仮名が変体仮名「多」(た)と変体仮名「免」(め)になっています。

「天道」、「道」のくずし字はとても特徴的でかえって覚えやすい。このくずし字の上に「小」をのせると「常」のくずし字になります。

「奉公一言」は四文字熟語ではなく、「奉公」できれます。そして「一言多りとも」と異なる文節になります。

「世の為」、「為」のくずし字がどうもそれっぽくみえません。

 ウーン、ここでも行住坐臥、普段の生活をきちんとしておけばよいのだとは納得するところではありますが、ありますけど・・・、そしてさらに、世のためになる言葉をたとえ一言でもよいのだから残しなさいなんて、わたしは何も残さずきれいサッパリとあとかたなく去りたいとおもっているんです。

 

2021年12月20日月曜日

桃山人夜話巻三 その42

P25後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

をいひ於ふせ須゛し天死せし人 の念 ハ可奈ら須゛と

          し  ひと 袮ん   

をいいおうせず してしせしひとのねんはかならず と


も尓其 家 尓残 りとゞまりといふこといと浅 ましき

  曽のいゑ のこ            あさ

もにそのいえにのこりとどまりということいとあさましき


ことども奈り仁  義の道 尓明 ら可奈る時 ハ無事

      志゛んぎ ミち 阿き    とき ぶじ

ことどもなりじ んぎのみちにあきらかなるときはぶじ


の節 尓いひ置 ぬることミ奈遺 言 なれ者゛死期

 せつ   於き      ゆひごん    しご

のせつにいいおきぬることみなゆいごんなれば しご


(大意)

を言い果たせずに死んだ人の念は必ず

その家に残りとどまるといい、たいへんに嘆かわしい

ことである。人としての道徳を見失ってなければ、普段の

生活で言い置いたことがみな遺言になるのだから死に際に


(補足)

「をいひ於ふせ須゛し天」、「を」を変体仮名「者」(は)、「い」を「ら」と読んで「はらいおおせず」と間違えてしまいました。変体仮名「者」(は)は「を」や「む」と形が似ているので注意です。

「人 の念 ハ可奈ら須゛とも尓」、変体仮名「奈」(な)が読みづらい。「とも尓」がよくわかりません。

「無事」、「無」のくずし字が難しい。

「いひ置ぬることミ奈」、「い」と「ひ」は間違えやすいですが、ふたつ並んで見比べてもやはりよくにています。「こと」は合字、2行前にもあります。「ミ」の3画目が「奈」に続いているのでちょっと悩みます。

「死期」、「後」のくずし字ではなく「期」(ご)のくずし字なので「死後」と間違えないように。

 ちと耳の痛い説法を聞くようです。なるほど「仁義の道を明らかに」しておけばよいのですが、ウーン、なかなかねぇ。

 

2021年12月19日日曜日

桃山人夜話巻三 その41

P25前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   六 遺 言 幽 霊 水 乞 幽 霊

多゛以尓志゛うろくゆ以ごんゆう連以ミづこひゆうれ以

だ いにじゅうろくゆいごんゆうれいみずこいゆうれい


佛 説 尓心  越娑 婆 尓止  るの輩    ハ未来 成  佛 の

ぶつせつ こゝろ しや者゛ とゞむ  とも可゛ら ミら以ぜ うぶつ

ぶっせつにこころをしゃば にとどむるのともが らはみらいじょうぶつの


因 奈しと阿ることハ煩  悩 を断  絶 し天涅槃 尓

ゐん        本゛んのう 多゛んぜつ  袮者ん

いんなしとあることはぼ んのうをだ んぜつしてねはんに


入れとの教  化奈りされ者゛末 期尓及  天遺 言  抔

い   け うけ      まつご および ゆひ个゛ん奈ど

いれとのきょうかなりされば まつごにおよびてゆいご んなど


(大意)

第二十六遺言幽霊水乞幽霊

仏説に「心をこの世にとどめる者は未来に成仏できない」

とあるのは、煩悩を断ち切り死をむかえなさい

との教えである。そうであるから臨終に及んで遺言など


(補足)

 船幽霊の幽霊つながりで今回も幽霊のおはなし。遺言幽霊の霊はくずし字または異体字の「ヨ」+「大」、水乞幽霊ではほぼ楷書。

「輩」のくずし字は今まで見なかったような気がします。

「成仏」の「成」の一画目が偏のようにみえます。大意では「成仏できない」と言い切ってしまいましたが、「成仏の因奈し」ですから正確には「成仏するきっかけさえつかめない」のほうがよかったかも。

「末期」の「期」のくずし字は再度出てきても読めそうにありません。

 幽霊の話かとおもいきや、もっと深いお話の様子・・・

 

2021年12月18日土曜日

桃山人夜話巻三 その40

P24後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

この可多多え天可ゝる奇異のこと越ミたる者

          きゐ       もの

このかたたえてかかるきいのことをみたるもの


奈しといへり平 家の一 門 こゝ尓亡 び多る一 念 の

      へいけ いちもん   本ろ   いち袮ん

なしといえりへいけのいちもんここにほろびたるいちねんの


残 りしとハいへども婦人 女 子ホ ハ格 別 知 毛り

のこ        ふじん尓よしとう 可くべつとも

のこりしとはいえどもふじんにょしとうはかくべつとももり


能登どのホ 尓於 てハこゝ尓出 ること阿るべ可ら須゛歟

のと  とう おゐ     いづ          可

のとどのとうにおいてはここにいずることなるべからず か


(大意)

このようなことは絶えてなくなり、かってあった奇異の出来事を見た者は

いないという。平家の一門がここで滅び、その一念が

残ったとはいうものの、女子どもらは別として、知盛(とももり)や

能登殿(のとどの)などはここに現れることはないのではなかろうか。


(補足)

知盛(とももり)は平知盛で平清盛の四男、能登殿は平教経(のりつね)で平清盛の弟教盛(のりもり)の子。もう誰が誰だったかなんて忘れてしまっています。

「この可多多え天可ゝる」、変体仮名「可」(か)と変体仮名「多」(た)が二箇所ずつ出てきてますが形が異なっていて悩ましいし、意味もどうもつかみきれないところです。

「こと越ミたる」、「こと」は合字。「ミ」が読みづらい。

「亡び多る」、「多る」が悩みどころ。

「格別」、ここでは、別にしての意。

「能登」、「登」が変体仮名「登」(と)のくずし字とは異なっています。

 

2021年12月17日金曜日

桃山人夜話巻三 その39

P24前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

るま可゛里越多 く多くハへ置 天曽れ越可しあ多へ

          於ホ     おき 

るまが りをおおくたくわえおきてそれをかしあたえ


天舩 人 時 の聲 を阿げ阿るひハ念 佛 経  多゛ら

 せんどうとき こゑ       袮んぶつ个 う

てせんどうときのこえをあげあるいはねんぶつきょうだ ら


尓ホ 越と奈へ天過 个る登楚゛応 長  旅 泊 日 記

 とう     春ぎ     於うて う里よ者く尓つき

にとうをとなえてすぎけるとぞ おうちょうりょはくにっき


登いふ毛の尓志るせり道 徳 の法 師是 越阿ハ

          どうとく ホうしこれ

というものにしるせりどうとくのほうしこれをあわ


連ミ大  施餓 鬼の法 會越とり行  ひし与里

  多゛以せ可゛き 本うゑ   於こ奈 

れみだ いせが きのほうえをとりおこないしより


(大意)

(底を抜いた)鋺(まがり)をたくさん蓄えておき、それを貸し与え、

船頭は(そのあいだに)ときの声をあげたり、念仏や経陀羅尼

などを唱えて過ぎ去っていったということが「応長旅泊日記」

というものに記されている。道徳の法師がこれを憐

れみ、大施餓鬼の法要を執り行ってから


(補足)

「可しあ多へ」、(かし)が悩みます。平仮名「あ」がありますが、他はほとんどが変体仮名「阿」(あ)です。

「時の聲」、辞書では「鬨の声」となりますけど、ここでは「時」。気合を入れる声。

「と奈へ天」、「と」が読めません。

「とり行ひし与里」、ここの「と」も読みにくい。

 亡者となった者たちは、底の抜けた器で何度も何度も果てしなくずっと海水を汲み続けるのでしょうか。

これもまた恐ろしくも悲しい・・・

 

2021年12月16日木曜日

桃山人夜話巻三 その38

P23後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

浪 越阿ら多゛て風 越起 し天ひさげを多べと天舩

奈ミ      可ぜ 於こ          せん

なみをあらだ てかぜをおこしてひさげをたべとてせん


人 越なや満せりやむこと越え須゛し天柄杓  を可

どう                ひ志やく

どうをなやませりやむことをえず してひしゃくをか


せバ潮  を船 中  尓組 入れ天舩 越沈 免んとせり

  うし本 せんち う くミい  ふ年 しづ

せばうしおをせんちゅうにくみいれてふねをしずめんとせり


登楚゛依 天渡海 の人 \/ハ舩 尓底 をぬき多

   よつ と可以 ひと   ふ年 そこ

とぞ よってとかいのひとびとはふねにそこをぬきた


(大意)

波を荒立て風を起こし「提子(ひさげ)をくれ」と

船頭を悩ませていた。仕方なく柄杓を貸すと

海水を汲んで船中に入れ、船を沈めようとしたという。

そのため航海する人々は船に底を抜いた


(補足)

「ひさげを多べと天」、ひさげは平べったいお銚子のようなもの、または平べったい急須のような形をしたものです。なので「酒をくれ」と言っているのだとおもいますが、酒をのんだりお銚子をくれ、というのを「たべる」と言うのかがどうもわかりません。

「なや満せり」、変体仮名「満」(ま)以外は現在でも通用するきれいな平仮名。

「やむこと越え須゛し天」、「こと」は合字。「え」が立派で大きな平仮名です。

 

2021年12月15日水曜日

桃山人夜話巻三 その37

P23前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   五舩幽霊

多゛以尓志゛うろくふ奈ゆう連以

だ いにじゅうろくふなゆうれい


長  門の国 早 鞆 の沖 尓ハ舩 幽 霊 登天海 上  尓幾

奈可゛と く尓者やとも 於き  ふ奈ゆう連以  可以せ う いく

なが とのくにはやとものおきにはふなゆうれいとてかいじょうにいく


百  人 とも奈く阿るハ甲 冑  越帯 せしごとき姿   の

ひやく尓ん       可つち う 多以     春可゛多

ひゃくにんともなくあるはかっちゅうをたいせいごときすが たの


人 阿らハ連幻   のごとく尓往 来 の舩 者゛多尓取 附

ひと    まぼろし     おうら以 ふ奈    とりつき

ひとあらわれまぼろしのごとくにおうらいのふなば たにとりつき


(大意)

第二十五船幽霊

長門の国の早鞆の沖には、船幽霊というものが海上に幾百人ともなくあらわれる。

あるものは甲冑を身に着けたような姿であらわれ、行き交う船ばたに幻のように取り付き


(補足)

「廿五」の振り仮名が(尓志゛うろく)とまちがえています。この頁も中央を虫食いで文字が何箇所も欠けています。

「国」と「百」のくずし字の違いはわずか。

 早鞆ときて甲冑ときたら源平合戦の古戦場です。幽霊はそのときの武士たちでしょうか。

 

2021年12月14日火曜日

桃山人夜話巻三 その36

P22 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

舩 幽 霊

ふ奈由ふ連い

ふなゆうれい


西 海 尓い川゛るよし

さい可い  

さいかいにいず るよし


平 家一 門 の死霊

へいけいちもん し連う

へいけいちもんのしりょう


の奈須所  と奈ん

   ところ

のなすところとなん


いひつ多ふ

いいつたう


(大意)

船幽霊

西海に出るという。

平家一門の死霊

のなすところである

と言われている。


(補足)

 前段では赤エイという巨大魚の話で、今回も同じ海にまつわる話であります。本文より先に画があります。

 頭に三角マークをつけた幽霊たちの表情はなぜか皆朗らか。まぁそんな幽霊がいたって楽しくってよいのですけど。桶をかついで柄杓で海水をすくい入れている様子です。何のためにしているのでしょうか。画の手前にふたつの温泉マークみたいのがあってこれは暗赤色をしています。人魂ではなさそうだし、海藻でしょうか?画はとても丁寧に描かれていて紐の結び目などその結び方がわかるほどです。海上でこんな光景にであったらやはりためらわずに逃げると思います。

「霊」のくずし字というか異体字が「ヨ」+「大」になってます。「ヨ」+「火」もあるようです。まちがえそうなのが「己」+「大」で、これは「異」です。古文書の「異国船」ではたいていこの異体字になっています。

 

2021年12月13日月曜日

桃山人夜話巻三 その35

P20P21 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

P20

阿可ゑいの魚

     うを

あかえいのうお


P21

古農魚 楚乃

   うを

このうおその


身の尺 三 里尓

ミ 多けさん里

みのたけさんりに


余 れり背尓砂

あま  せ 春奈

あまれりせにすな


たまれ者゛をとさ

たまれば おとさ


んと海 上  尓う可へ

  可いしやう 

んとかいじょうにうかべ


里其 時 舩 人 嶋

 そのときふ奈びとしま

りそのときふなびとしま


奈りと思 ひ舟 を

      ふね

なりとおもいふねを


寄 連ば水 底 尓

よ春  春いてい

よすればすいていに


志川゛免り然 る時 ハ

     し可 とき

しず めりしかるときは


浪 あらくして舩

奈ミ     ふね

なみあしくしてふね


是 可゛為 尓破 らる

これ  多め やぶ

これが ためにやぶらる


大  海 尓多 し

多゛い可い お本

だ いかいにおほし


(大意)

赤えいの魚

この魚の体長は3里(約12km)をこえるという。

背に砂がたまると落とそうとして、海上に浮かび上がる。

そのとき船頭がそれを島だと思い、船を寄せると水底に沈んでしまう。

そのようなときは荒れるその波を受け、船はそのために壊れてしまう。

大海に多い。


(補足)

 見開きです。小舟を寄せて数人が上陸?してますが、腰が引けて恐る恐るといった様子。ついでながら、上陸?箇所は赤エイ鼻先の右側あたりでしょうか。二人の右斜め上に赤エイの右目があります。左目はその右斜下綴じ目の右側です。のように見えるのですがいかがでしょうか。刺し身が何人前というちっぽけなたとえなど消し飛んでしまうくらいのはなしで、いいですねぇ。まぁ、実際日本列島周辺の島などで、現れては消えるというのがあったようですから、あれは実はでかい魚なんだよと言い始めた漁師がいてもなんの不思議もありません。

「古農魚楚乃」、最初に読めるのは「魚」、次が変体仮名「乃」。他の三文字は変体仮名を学んでいないと苦しい。

「海上尓う可へ里」、(うかへり)って何だろうと悩みますが、「べ」とすればなるほど~。

「志川゛免り」(しずめり)。いろいろな変体仮名がでてきます。

「然」、ここのくずし字は「灬」が旁のほうに移動してしまってます。

「冂」が文章の終わりとさらにその左側にあります。沖を航行する帆掛け船が2隻のようにも見えます。

 

2021年12月12日日曜日

桃山人夜話巻三 その34

P19 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

歯黒 遍゛つ多り

者ぐろ

はぐろべ ったり


或 人 古 き社  の前 を通 りしにうつら可奈る女  の伏 拝  ミ居多れ者゛

あるひとふる やしろ まへ とふ         をん奈 ふしお可゛ ゐ    

あるひとふるきやしろのまえをとおりしにうつらかなるおんなのふしおが みいたれば 


戯  連云 て

た王ふ いひ

たわぶれいいて


過 んとせしに彼 女  の振 むきたる顔 を見れ者゛目鼻 奈く口 斗  里大 きくて

春ぎ     可のおん奈 ふり    可本     め者奈  くち者゛可 お本

すぎんとせしにかのおんなのふりむきたるかおをみれば ねはななくくちば かりおおきくて


げら\/と笑 ひし可本二 目と

     王ら    ふ多め

げらげらとわらいしかおふためと


見るべきやう毛

みるべきようも


那し

なし


(大意)

歯黒べったり

ある人が古い社の前を通ったところ、美しい女が伏し拝んでいたので、ふざけて

声をかけて、通り過ぎようとしたのだが、かの女が振り向きその顔を見れば

目鼻がなく口ばかりが大きくて、げらげらと笑う顔はもう一度見たいとは

とてもおもえないものであった。


(補足)

 やっとお歯黒べったりの顔を拝めます。顔だけでなく、着物姿もどこか奇妙です。

振り袖で袖から見える手は若い娘のようですけど、それにしては足は素足でぽっくりではなく薄い草履をはいています。また振り袖なのにお歯黒をして髪は丸髷です。お歯黒の口を拡大して観察するとチト怖い。でもきっといたずらっ子たちはのっぺら部分におかしないたずら書きをして楽しんだはずです。

「通りしにうつら可奈る」、平仮名「に」も出番があるようです。「し」と「ら」がにたようなかたちで前後の流れで読むのでしょう。

「振むきたる」、平仮名「た」も出てきました。その上にはやはり平仮名「に」があります。

 

2021年12月11日土曜日

桃山人夜話巻三 その32

 

P18後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

も奈く人 も奈し水 越もとむる尓ミ奈潮  奈り个れ

   ひと   ミづ        うし本

もなくひともなしみずをもとむるにになうしおなりけれ


者゛是非奈く立 帰 り天ミ奈\/舩 尓の里十  町

  ぜひ  多ち可へ      ふ年   志゛つて う

ば ぜひなきたちかえりてみなみなふねにのりじゅっちょう


者゛可里も者奈れ多りと思 ふころ彼の嶋 と覚  し

           於も   可 し満 お本゛

ば かりもはなれたりとおもうころかのしまとおぼ し


きハ海 水 尓沈 めり是 果 し天大 魚 也 と云 伝 へり

  可いす以 しづ  これハ多  多以ぎよ   いひつ多

きはかいすいにしずめりこれはたしてたいぎょなりといいつたえり


(大意)

もなく、人もいなかった。水を求めようとも、みな海水なので

仕方なく立ち帰り、全員で船に乗った。十町(約108m)

ばかりも離れたかとおもうころ、かの島のようにみえていた

ものは海に沈んでしまった。これはやはり巨大魚だったのだろうと

言い伝えられている。


(補足)

 この行に「も」が3箇所でてきます。3つともかたちが異なっています。「む」の上半分は虫食いのためか欠けています。このあとの3行分も同じ位置の文字「ミ」「ふ」「天」が食われている様子。

「水」(みず)、ここの「水」はほぼ楷書ですが、3行隣の「海水」の「水」はとても書けそうもないかたち。

「是非」、「非」のくずし字は「飛」のくずし字の下半分とほぼ同じです。「飛」のくずし字は「非」のくずし字の上に「ユ」のようなかたちのものがつきます。

 どうせ信じてもらえそうもないはなしなら、でっかく大風呂敷を広げて目を白黒させてやりたいもの。このような大ぼらめいたお話は大好きです。大笑いしたあと、でもとちょっと不安にさせるような心持ちになってしまう・・・、ホントかなぁでもまさかなぁ、う~ん・・・。何かの折、沖に出たときになどフッと思い出すはずです。


2021年12月10日金曜日

桃山人夜話巻三 その31

P18前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

こ奈るらん登ミ奈\/陸  尓上 り天人 家越もとむ

                 く可゛     志ん可

こなるらんとみなみなくが にあがりてじんかをもとむ


連どもさら尓人 とてハ奈く只 見奈れぬ草 木

      ひと     多ゝミ   くさき

れどもさらにひととてはなくただみなれぬくさき


の岩 の上 尓茂 り天多 くの毛久春゛梢  尓可ゝ

 い王 うへ しげ  於本      こ春え

のいわのうえにしげりておおくのもくず こずえにかか


里岩 のひま\゛/尓ハ穴 有 天流  越つ多へ魚 奈ど

 い王        あ奈あり 奈可連    うを

りいわのひまび まにはあなありてながれをつたえうおなど


多 く春む所  有 猶 行 こと二三 里奈れどもいゑ

於本   ところあり奈本ゆく  尓さんり

おおくすむところありなおゆくことにさんりなれどもいえ


(大意)

(どこ)だろうかと皆陸にあがり、人家を探し

たが、いっこうに人さえ見つからず、ただ見たこともない草木

が岩の上に茂り、たくさんの藻屑が梢にからまっていた。

岩のすきまというすきまの穴からは水が流れ伝わり、魚など

が多く住んでいるところがあった。なお二、三里行ってみたが家


(補足)

「奈るらん」、「ら」はただのつなぎ記号とかしてしまっています。そのすぐ左「さら尓」も同様。

「陸」(りく)を「くが」とも読むのですね。

「もとむ」、ここの「も」は一番下でクルッと左回りに斜め上にあがります。次の行の「連ども」の「も」は「し」のあとに、小さな「こ」を左側にかきます。さらに次の行の「毛く春゛」では変体仮名「毛」(も)で小さな「こ」+「ち」のような感じ。

 大海を漂流し死者もだして、島に流れ着きはしたものの、どうも怪しい様子・・・、

さて・・・

 

2021年12月9日木曜日

桃山人夜話巻三 その30

P17後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

づく登も奈く漂  流  し廿   六 人 のりのうち三 人 ハ

      へう 里う  尓志゛うろく尓ん     さん尓ん

ずくともなくひょうりゅうしにじゅうろくにんのりのうちさんにんは


過   天水 尓溺  れ死し个れども廿   三 人 の毛の共

阿や満ち ミづ 於本゛れ      尓志゛うさん尓ん   ども

あやまちてみずにおぼ れししけれどもにじゅうさんにんのものども


からうじ天ひと川の嶋 尓着  岸  せりこゝハいづ

         し満 ちゃく可゛ん

かろうじてひとつのしまにちゃくが んせりここはいず


(大意)

どこへともわからずに漂流し、26人の乗員のうち3人は

あやまって溺れ死んでしまったが、残り23人のものたちは

かろうじてひとつの島にたどり着いた。ここはどこで


(補足)

「からうじ天」、「し」は「う」に重ねて書いたので濁点の位置が「し」の書き終わりのところにあります。

 読みやすい文章が続きます。

 

2021年12月8日水曜日

桃山人夜話巻三 その29

P17前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   四赤 ゑいの魚

多゛以尓志゛うしあ可   うを

だ いにじゅうしあかえいのうお


安房の国 野嶋 可゛﨑 と以へる所  尓又六  佐吉 登

阿王 く尓のじ満  さき    ところ ま多ろくさきち

あわのくにのじまが さきといえるところにまたろくさきちと


天婦多りの船 人 ありき王免天舩 の上  手奈里

     せんどう      ふ年 ぜう づ

てふたりのせんどうありきわめてふねのじょうずなり


个れバ風 波をもいと者須゛し天大 可多ハ出  帆  しつ

   ふう者         於本   志由つ者゜ん

ければふうはをもいとわず しておおかたはしゅっぱ んしつ


る尓阿る時 大 船 尓うちの里个れバ難 風 尓てい

    とき於本ぶ年        奈んぷう

るにあるときおおぶねにうちのりければなんぷうにてい


(大意)

第二十四赤えいの魚

安房の国の野島が崎というところに又六と佐吉という

二人の船頭がいた。きわめて船のあつかいがうまかった

ので風や波もかまわずにたいていは出帆していた。しかし

あるとき大きな船に乗っているときのこと、大風に吹かれて


(補足)

 お歯黒べったりの顔が気になるところではありますが、今度は海のおはなし。

頁の中央を横断するように波形に虫食い?のような跡があって文字が欠けているところがあります。

「嶋」の「山」が上部に移動しています。下の部分のくずし字は「鳥」のくずし字と同じです。「山」があるのが「嶋」でないのが「鳥」。

「崎」or 「﨑」も「嶋」と同様で「山」が冠の位置になってます。

「婦多り」、「ふ多り」でいいじゃないかとおもっても変体仮名「婦」(ふ)。

「船人」で「せんどう」と読ませています。

「き王免天」、変体仮名「王」(わ)の中央が欠けて「こ」のようになってます。

「出帆」、振り仮名「者゜」が半濁音記号「゜」です。すぐ左の行の「難風」の「ぷ」も同様。

 

2021年12月7日火曜日

桃山人夜話巻三 その28

P16後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

天笑 へり目も奈く鼻 も奈く耳 も奈く眉 も奈し

 王ら      者奈   ミゝ   ま由

てわらえりめもなくはなもなくみみもなくまゆもなし


只 口 のミあき天个゛ら\/と笑 ふる其 口 の大 き

多ゞくち           王ら  曽のくち 於本

ただくちのみあきてげ らげらとわらふるそのくちのおおき


さ箕の如 しと有 もろこし尓も可ゝる化 物 ハ有 尓や

 み こと  あり         バけもの 阿る

さみのごとしとありもろこしにもかかるばけものはあるにや


(大意)

(振り向い)て笑った。目もなく鼻もなく耳もなく眉もなかった。

ただ口だけをあけてゲラゲラと笑っていた。その口の大きさは

箕のほどもあった」。唐土(もろこし)にもこのような化け物はいるのであろうか。


(補足)

「可ゝる化物」、「ゝ」を変体仮名「多」(た)と読み間違えてしまいました。

「有尓や」、振り仮名「阿る」 の「る」はほとんど「゜」。変体仮名「尓」が英小文字筆記体「y」のようにあります。

 はやく歯黒べったりの画をみたいのですが、このあと3頁目になります。

 

2021年12月6日月曜日

桃山人夜話巻三 その27

P16前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   三 歯黒 遍゛つ多り

多゛以尓志゛うさん者ぐろ

だ いにじゅうさんはぐろべ ったり


歯ぐ路べつ多りをうる里 女  とも又 東 国 尓天ハのつ遍゛ら

者           をん奈  ま多とうごく 

はぐろべったりをうるさとおんなともまたとうごくにてはのっぺ ら


坊  とも云 多 くは狐狸の化 曽こ奈ひし奈り新 燈 開

本゛う  いふ於本  こり 者け       志んとう可い

ぼ うともいうおおくはこりのばけそこないしなりそんとうかい


語尓水 神 の本こらの前 尓天女  尓阿ふ神 の名越

ご 春以しん     まえ  をん奈   可ミ

ごにすいしんのほこらのまえにておんなにあうかみのなを


志りつゝ女  尓問ふ答 へ須゛して行 袖 をひ个バ振 むき

    をん奈 と こ多     ゆく曽で    ふり

しりつつおんなにとうこたえず してゆくそでをひけばふりむき


(大意)

第二十三歯黒べったり

歯黒べったりを売る里の女とも、また東国では「のっぺら坊」

とも言われている。多くは狐や狸の化けそこなったものである。新燈開語

に次のようにある。「水神の祠(ほこら)の前で女に会った。神の名を

知ってはいたがその女に尋ねてみた。答えずに行こうとするので袖を引いたところ振り向い(て)


(補足)

「うる里女」、変体仮名「里」(り)ではおかしいので、漢字の「里」で里女(さとおんな)。

「のつ遍゛ら坊」、変体仮名「遍゛」(べ)は「゛」が付いていますが発音は半濁点「゜」で「ぺ」。

「水神」の「神」はほぼ楷書ですが、同じ行の下にある「神の名」ではくずし字になってます。

「本こら」、文章の流れから「祠」(ほこら)とわかりますが、「こら」の読みが悩む。

 

2021年12月5日日曜日

桃山人夜話巻三 その26

P15後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

身ハ只 化  しのゝ露 尓さらし天鳥辺野のつ由と消 奈ん

ミ 多ゞあ多゛   つ由      への    きゑ

みはただあだ しののつゆにさらしてとりべのつゆときえなん


七 \/日  の奈り行 を恋 尓迷 ふ輩   尓示 し天無常  を

志ち  志゛つ   ゆき こひ まど とも可ら 志め  むせ う

しちしちじ つのなりゆきをこいにまどうともがらにしめしてむじょうを


歓  じさせつ序  ハ未来 佛 果 の縁 尓ひくへし登天

くハん    ついで ミら以ふつくハ ゑん

か んじさせつついではみらいぶっ かのえんにひくべしとて


御 身を野曝  とし給 ひしハ有 可゛多可り个る例  奈里

於んミ のざらし  多満   あり       多めし

おんみをのざらしとしたまいしはありが たかりけるためしなり


(大意)

身はただ、化野(あだしの)の露にさらして、鳥辺野(とりべの)の露と消えたいのです。四十九日までの朽ち果てようを恋に迷う人たちにしめして、人の無常をかんじさせたいのです。そのようにすることはこののち成仏するきっかけともなりましょう」と仰っしゃり、御身を野ざらしになさったのはほとんど例にない行いであった。


(補足)

「鳥」のくずし字が平仮名二文字にもみえますが、「鳥辺野」という地名。

「七\/日」、漢字一文字なので「七ゝ日」ではないとかとおもうのですが。辞書には「七七日」(しちしちにち)とあります。または(なななぬか)。現在では四十九日。

「迷ふ」、振り仮名が「まよ」ではなく「まど」。

振り仮名「とも可ら」、「と」の二画目が左上から始まっているので読み間違えやすい。

「ひくへし」、「く」を読みとばしそう。

「し給ひし」、「し」は変幻自在。

「有可゛多可り个る例奈里」、ここの「有難い」は感謝するの意ではなく、有るのが難しいと文字通りの意味でしょうか。めったにないこと、珍しい出来事、他に例をみない。

 檀林皇后は橘(たちばなの)嘉智子(かちこ)(786年〈延暦5年〉- 850年6月17日〈嘉祥3年5月4日〉)、嵯峨天皇の皇后とあります。なんとも昔の人なのでした。しかし死に際しての心意気は現在でもいろあせることなく立派なことであります。

 

2021年12月4日土曜日

桃山人夜話巻三 その25

P15前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  廿   二帷子    辻

多゛以尓志゛う尓可多びら可゛つじ

だ いにじゅうにかたびらが つじ


檀  林 皇  后 ハ世尓多ぐい奈き美人 尓ておハし个れバ多 くの

多゛ん里んくハうごう よ      びじん        於本

だ んりんこ うごうはよにたぐいなきびじんにておわしければおおくの


ひと\゛/見奉   り天此 君 尓心  越動 可さゞるハ奈可り个り隠

     ミ多て満つ  このきミ こゝろ うご          可く

ひとび とみたてまつりてこのきみにこころをうごかさざるはなかりけりかく


連させ給 ひ个る時 御遺 言 尓尸   越埋 め須゛し天辻 尓捨 へし

   多満   ときごゆひ个ん 奈き可ら うづ     つじ 春つ

れさせたまいけるときごゆいごんになきがらをうずめず してつじにすつべし


(大意)

第廿二帷子辻

檀林皇后(だんりんこうごう)は世に比類なき美人でいらしたので、多くの

人々はご尊顔を拝するとこの君に心を動かさないものはいなかった。お亡く

なりになるときご遺言に「亡骸は土に埋めず、辻に捨ててください。


(補足)

「世尓多ぐい奈き」、「く」と「い」の一部分がかけています。すぐには読めませんでした。

「美」の下半分がかけています。

「ひと\゛/」、「ひ」と「と」が合体して合字のよう。

「奉り天」(多て満つりて)、振り仮名を読むのも大変。

「動可さゞるハ」、振り仮名「うこ」のしたに変体仮名「可」があるようにもみえますがさて?「さゞる」、「ゝ」に「゛」がありません。ここの本文には他にも「゛」がないところが何箇所かあります。

「隠」の振り仮名が一文字のようにみえますけど、小さな変体仮名「可」があります。

「尸」の振り仮名でも「可」のところが欠けています。どうやらここから右へ「越」と「美」まで虫食いがあるのかもしれません。ちなみに「尸」は「しかばねかんむり」とはしりませんでした。

 

2021年12月3日金曜日

桃山人夜話巻三 その24

P14 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

加多飛ら可゛辻

      つぢ

かたびらが つじ


檀  林 皇  后 の御尊 骸 を捨 し故 尓や

多゛ん里んく王うごう ごそんがい 春て 由へ

だ んりんこ うごうのごそんがいをすてしゆえにや


今 毛折 ふしごとに女  の死可゛い見へ天

いま をり     おん奈 し     

いまもおりふしごとにおんなのしが いみえて


犬 烏  奈どのくらふさ満能見由るとぞ

いぬ可ら春

いぬからすなどのくらうさまのみゆるとぞ


いぶ可しき事 尓奈ん

     こと

いぶかしきことになん


(大意)

かやびらが辻(帷子辻)

檀林皇后の御尊骸を捨てたからだろうか。

今も時折、女の死骸があるようで

犬やからすなどが食らう様子を見ることができるという。

どのようなことなのか気になることである。


(補足)

 帷子辻の画が本文より先になりました。

「か多飛ら」の「か」は最初、平仮名かとおもいましたが、よく見ると変体仮名「加」でした。

振り仮名「多゛ん里んく王うごう」、変体仮名「里」と変体仮名「王」がにています。

「犬烏奈どのくらふさ満能見由るとぞ」、意味がわかってしまうとどうということはないのですが、「くらふさ満能」が何度か繰り返してやっと納得。「と」が合字の「こと」にみえますが、文意から「とぞ」。

「事」の振り仮名「こと」は合字。

 今でも京都太秦に京福電車停留場の駅名に「帷子ノ辻」(かたびらのつじ)があります。

なぜ皇后ともあろうお方がそこに捨てられたのかは本文を。

 

2021年12月2日木曜日

桃山人夜話巻三 その23

P13 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

波 山

者゛さん

ば さん


深  藪 のうちに生  じ

ふ可きやぶ    せ う

ふかきやぶのうちにしょうじ


常 に口 より火を吐 天

つね くち  ひ 者き

つねにくちよりひをはきて


夜ゝ 飛行

よ\/ひ个゛う

よよ ひぎょう


春と楚゛

すとぞ


(大意)

波山

深い藪の中に現れ

常に口より火を吐き

夜ごと飛び回るという


(補足)

「波山」の振り仮名がぼけていてよくわかりません。

鶏といえば伊藤若冲がすぐにおもいうかびますが、この絵の作者は意識したかどうか?

片足をあげて鶏の動きを出す工夫や毛並みなども背中・腹・首周り・尾などそれなりに描きわけています。常に火を吐いているのは実は長い舌かもしれません。とさかが白くて顎までいれると、白い十字架のように見えなくもない。

 

2021年12月1日水曜日

桃山人夜話巻三 その22

P12後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

火越者く登いへども狐  の息 と同 じ橘    子可゛随  筆 尓

ひ        きつ年 いき 於奈 多ち者゛なし  春゛以ひつ

ひをはくといえどもきつねのいきとおなじたちば なしが ず いひつに


者゛さ\/ハ庭 鳥 の大 い奈る尓類 せりと志るせ里

      尓ハとり 於本    る以   

ば さばさはにわとりのおおいなるにるいせりとしるせり


犬 鳳 凰 登いふ毛の阿連登゛もいま多゛慥  奈ら須゛

いぬ本う王う              多し可

いぬほうおうというものあれど もいまだ たしかならず


(大意)

火をはくといっても狐の息と同じようなもので、橘氏の随筆には

「バサバサはにわとりを大きくしたものににている」と記している。

犬鳳凰とも言われているようだが、いまだ確かなことは不明である。


(補足)

「火越者く登いへども」、「ども」が一文字のようでわかりにく。この2行後の「阿連登゛も」では変体仮名「登」(と)に「゛」で「ども」。

「者゛さ\/ハ」、繰り返し記号「く」(縦書き)は2文字以上のとき、1文字では「々」が大まかな約束事。

 大きなにわとりのようなものが、または犬鳳凰と呼ばれるのだから、何がなんだかわからなくなります。特に悪さもしないようだし、まぁ次頁の画を見ることにしましょう。