P3前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
菊 の名尓酒 買ふ程 ハ銭 有 天 魯山
きく 奈 さけ可 本ど ぜ尓あり ろさん
きくのなにさけかうほどはぜにありて ろさん
登㐧 三 越し多る尓主 人 又
多゛ひさん し由じんま多
とだ いさんをしたるにしゅじんまた
ワ春れてハ又 捨 多世越奈幾
ま多すて よ
わすれてはまたすてたよをなき
登挙 句迄 出来个れバ魯山 ハいよ\/興 尓入 天
阿げくまででき ろさん 个う いり
とあげくまでできければろさんはいよいよきょうにいりて
いつ迄 も此 家尓止 り天風 流 の多のしミせんもの
まで このや とゞ満 ふう里う
いつまでもこのやにとどまりてふうりゅうのたのしみせんもの
をと思 ひ个る可゛食 物 ハ阿多ゝ可奈る毛の有 个れ共
於も しよくもつ あり とも
をとおもいけるが hそくもつはあたたかなるものありけれども
(大意)
そして魯山が
菊の名に酒買う程は銭ありて
(菊の節句に酒を買って祝うくらいのお金は持ってますよ)
と第三を付けると、主人はまた
わすれては又捨てた世をなき
(菊の節句などと聞くと、また忘れてしまっていた捨てた世を思い出して泣けてしまします)
と挙げ句まで出来てしまった。魯山はいよいよ興にのってきて
いつまでもこの家にとどまって風流の楽しみをしたいもの
だと思った。しかし食べ物は温かいものが出されるのに
(補足)
「㐧三」、振り仮名は「多゛ひ」に見えますが「多゛以」かもしれません。
「ワ春れてハ」、片仮名「ワ」をひさしぶりにみると、はて?とおもってしまいます。
変体仮名「幾」(き)。普段でてくるのは変体仮名「起」(き)のほうがおおいとおもいます。
振り仮名がなければ読めそうもないではなく読めないくずし字がたくさん出てきています。
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