P4前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
ハのけさ満尓大 地へ奈げら連所 ハ其 儘 野原と
多゛以ぢ ところ そのまゝの者ら
はのけさまにだ いちへなげられところはそのままのはら
奈り天彼 家 登覚 しきハ阿多り尓ミえ須゛婦し
可のいゑ 於本゛
なりてかのいえとおぼ しきはあたりにみえず ふし
ぎのこと尓思 ひ天同 じ里 の人 尓語 る尓豆 多゛ぬ
於も 於奈 さと ひと か多 まめ
ぎのことにおもいておなじさとのひとにかたるにまめだ ぬ
き能所 為奈りといへりされども附 合 三 十 六 句の
しよゐ つ希あひさん志゛うろツく
きのしょいなりといえりされどもつけあいさんじゅうろつくの
こと越希有尓思 ひ天其 侭 尓志るし狸 歌仙 と
けう 於も そのまゝ 多ぬき可せん
ことをけうにおもいてそのままにしるしたぬきかせんと
(大意)
(魯山)はもんどりうって大地へ投げ出され、(八畳間の)ところはそのまま野原と
なり、かの家とおぼしきものはあたりに見あたらなかった。不思議な
ことだとおもって、同じ里の人に(このことを)語ったところ、それは豆狸
の仕業であると言った。しかし(連句)三十六句の附合が残っている
ことを珍しいとおもってそのままに記し、狸歌仙と
(補足)
「野原」、「野」のくずし字は「那」+「土」のようなかたち。
「こと」、これでひと文字で合字です。何箇所かこのあとにでてきます。
変体仮名「能」(の)は英語の発音記号「æ」に似ています。
「附合」の振り仮名がよくわからないので拡大してたしかめました。ここの「け」は変体仮名「希」(け)でしょうか。「あ」は変体仮名「安」(あ)のようにもみえますが、やはりよくわかりませんでした。
「三十六句」、振り仮名「ろつく」の「つ」は片仮名「ツ」にもみえますし、変体仮名「川」(つ)のようにもみえます。
お釈迦様の手のひらならぬ狸の陰嚢(きんたま)座敷も大風呂敷をひろげたはなしで笑えます。連句のやり取りがあるので、お下品にはかろうじてならなそうなのがまぁ救い。
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