P22前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
こゑのひ曽\/と春れバ聞 耳 立 る尓王可゛心 得違
きゝミゝ多つ こゝろえ多可゛ひ
こえのひそひそとすればききみみたつるにわが こころえたが い
与り先 妻 の子越殺 せり阿や満てり\/ といひし
せんさ以 こ ころ
よりせんさいのこをころせりあやまりてあやまりてといいし
登楚゛誠 尓恐 るべきこと奈り个り万 治年 中 尓
まこと 於曽 まんじ袮んぢ う
とぞ まことにおそるべきことなりけりまんじねんじゅうに
も人 面 疔 と天膝 尓口 阿る者 出 来 り天東 武の医
尓んめんて う ひざ くち ものいでき多 とうぶ ゐ
もにんめんちょうとてひざにくちあるものいできたりてとうぶのい
家尓治療 を乞 しこと阿り是 ハ農 民 奈り个る可゛
可 ぢ里やう こひ これ のうミん
かにちりょうをこいしことありこれはのうみんなりけるが
(大意)
(のちには)ひそひそと話し声がするので、聞き耳をたてたところ「自分の間違った行い
で先妻の子どもを殺してしまった。すまなかった。すまなかった。」と言っていた
とのことだ。まことに恐るべきことである。万治年間(1658〜61)に
も人面疔という膝に口があるものが出てきて、東武(江戸)の医
者に治療を乞うたことがあった。これは農民であったが
(補足)
「こゑのひ曽\/と春れバ」、「こゑ」がわかりにくいですが、続けて読むと「ひ曽\/と」とあるので「声」とわかりました。
「聞」のくずし字、「門」は冠のようになってます。
「誠に」、「成」のくずし字が「斗」のような形になってます。
「恐」のくずし字は「心」の上が「旧」のようなかたち。「思」と区別。
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