P14 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
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(読み)
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出 世ほ羅
し由つせ
しゅっせほら
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第 十 五出 世螺
多゛以志゛うご志由つせ本ら
だ いじゅうごしゅっせほら
深 山 尓ハ本ら貝 有 天山 尓三 千 年 里 尓三 千 年 海 尓三
志んざん 可゛いあり や満 さんぜん袮んさと さんぜん袮んうミ さん
しんざんにはほらが いありてやまにさんぜんねんさとにさんぜんねんうみにさん
千 年 越経天龍 と成る是 越出 世の本らと云 昔 与り有
ぜん袮ん へ 里やう 奈 これ 志由つせ いふむ可し ある
ぜんねんをへてりゅうとなるこれをしゅっせのほらというむかしよりある
こと尓天遠 州 今 切 のわ多しも本らのぬけ多る跡 也 と云
ゑん志 ういまぎれ あと いふ
ことにてえんしゅういまぎれのわたしもほらのぬけてるあとなりという
(大意)
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出世ほら
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第十五出世螺
奥深い山には法螺貝があって、山に三千年、里に三千年、海に三
千年を経て龍となる。これを「出世のほら」という。昔よりある
ことで、遠州今切の渡しもほらの抜けた跡であるという。
(補足)
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「ら」が変体仮名「羅」(ら)になってます。
色刷りの画ならば海の色(龍の爪の色と同じ)が鮮やかです。龍は法螺貝の中に入って、竜吐水のように海へ吐き出し荒海となっています。
法螺貝は長寿とは関係なく(あるかも)、なかなか旨い貝です。法螺貝に似た貝にニシというのがあってこれもまた旨い。沢山とれたときは冷凍にします。上部な貝殻で実を取り出すのも大変です。乱暴な方法は金槌で割るのですが、この作業も大変で危険。そこで法螺貝やニシの蓋部分のところを紐でくくってぶら下げておくという気の長い方法があります。割るよりこちらのほうがはるかに良い方法。貝は自分の重みに耐えかねて、ぬるっと間延びして貝殻は抜けてきます。すかさず引っ張り出してメデタシメデタシ。
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「深山」、何度もこの用語は出てきましたが振り仮名は「ミや満」でした。
変体仮名「年」(ね)は「◯」に「丶」です。
「成る」、「柳女」の最後に出てきました。「求」のような感じ。
「わ多し」、変体仮名「和」(わ)ですが、カタカナ「ワ」にもみえます。
「と云」、ここでは二つがはっきり分かれていてわかりやす。
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