P21後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
頭 王れ天血おび多ゞしく出 し可゛疵 口 さら尓癒 るこ
可しら ち いで きづぐち い由
かしらわれてちおびただしくいでしが きずぐちさらにいゆるこ
登奈く唇 の可多ちを奈し天骨 ハ出 天歯の如 く尓
くちびる 本袮 いで 者 ごと
となくくちびるのかたちをなしてほねはいでてはのごとくに
奈り肉 つき上 りて舌 尓類 せり時刻 越とりてい多
尓く 阿可゛ 志多 る以 じこく
なりにくつきあが りてしたにるいせりじこくをとりていた
むこと苦痛 多え可゛多く食 を入るゝ時 ハい多ミを
くつう 志よく い とき
むことくつうたえが たくしょくをいるるときはいたみを
和 らげ多り依 天両 口 阿る可゛ごとし後 尓ハ毛の云
や王 よつ 里やうくち のち いふ
わわらげたりよってりょうくちあるが ごとしのちにはものいう
(大意)
頭が割れて血がおびただしく出たが、傷口は少しも癒えるこ
となく、唇の形になってきて、骨が出て歯のように
なり、肉が盛り上がってきて舌のようなものになった。時によっては
痛み、その苦痛は耐え難く、(口のようなところへ)食べ物を入れるときは痛みを
和らげることができた。よって(頭の前後の)両方に口があるようであった。後には
(ひそひそという話し声)
(補足)
「時刻越とりて」、「と」の一画目が「ー」になっていてすぐにはわかりませんでした。この部分の意味も辞書を調べて悩みました。辞書に「 (「時にとって」「時にとりて」の形で)場合によって。時によって。「人,木石にあらねば,時に―・りて,物に感ずる事なきにあらず」〈徒然草•41〉」とあったのでこれを採用。
「上りて」、こちらの「上」のほうがよほど平仮名「と」にみえます。
二口は生まれながらにあったのではなく、このような子どもいじめ殺しがあって、その後の事故によってできた傷口が原因でした。現代でもありそうなことです。
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